2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルム・唾液のメタボローム解析で拓く「口腔疾患リスク指標」
Project/Area Number |
22390399
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 健由 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80291128)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (20250186)
坂本 光央 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 協力研究員 (50321766)
鷲尾 純平 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20400260)
|
Keywords | 歯学 / バイオフィルム / メタボローム / 微生物 / 糖代謝 / アミノ酸代謝 |
Research Abstract |
1.CE-TOFMSシステムによる口腔バイオフィルムのメタボローム解析の確立 代表的口腔バイオフィルムとして歯肉縁上歯垢を用い、含まれる代謝産物、代謝中間体を対象として、CE-TOFMSシステムによる網羅的微量定量法を確立・発展させた。Carbon metabolism(解糖系・クエン酸回路・ペントースリン酸回路)に限定されていたこれまでのメタボローム解析に、Nitrogen metabolism(アミノ酸代謝系)のメタボローム解析を加えることで、糖質代謝からアミノ酸・タンパク質代謝といった口腔バイオフィルムで生じていると推測される広範なメタボローム解析が可能となった。Nitrogen metabolismのメタボローム解析に必要な口腔バイオフィルム試料の前処理は、Carbon metabolismのそれと同等であり、簡便なメタボローム解析が可能となった。 2.口腔バイオフィルムのメタボローム解析の応用 実際のin vivoでの口腔バイオフィルムの代謝が口腔内の環境変動でどのような影響を受けるのか、さらにその影響がin vitro研究で予測されたものと同じか否かを検討した。口腔バイオフィルムの代謝に影響を及ぼすものとしてフッ化ナトリウム及びキシリトールを対象とし、これらを洗口する前後に歯肉縁上歯垢を採取し、Carbon metabolismについてメタボローム解析を行った。フッ化ナトリウム洗口ではエノラーゼ阻害が見られるとともに酸産生が有意に減少するなど、これまでin vitroで得られた知見がin vivoでも生じていることが確認された。一方、キシリトール洗口では、酸産生の減少はもとより糖代謝阻害はまったく見られず、これまでのミュータンスレンサ球菌を用いたin vitro研究で推測されてきた代謝阻害は、in vivoではほとんど生じないものと考えられた。
|
Research Products
(29 results)