2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルム・唾液のメタボローム解析で拓く「口腔疾患リスク指標」
Project/Area Number |
22390399
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 信博 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60183852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 健由 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80291128)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (20250186)
坂本 光央 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 協力研究員 (50321766)
鷲尾 純平 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20400260)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯学 / バイオフィルム / メタボローム / 微生物 / 糖代謝 / アミノ酸代謝 |
Research Abstract |
1.口腔バイオフィルムのメタボローム解析の展開(アミノ酸代謝動態):昨年度までに、in vivoでの口腔バイオフィルムの代謝について、糖に加えアミノ酸がエネルギー源として利用されていることを明らかにしたが、本年度はより詳細なアミノ酸の代謝動態について検討した。各種アミノ酸を口腔バイオフィルムに添加したときのアンモニア産生量はグルタミンからが最も多く、アスパラギン、アルギニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システインと続いた。また、アンモニアの産生と共に、グルタミンからグルタミン酸が、グルタミン酸から2-オキソグルタル酸が、システインからセリンが、セリンからピルビン酸が、アスパラギン酸からフマル酸が、アルギニンからシトルリンやオルニチンが特徴的に産生され、各種アミノ酸が、口腔バイオフィルム中でそれぞれ特徴的な代謝によって分解・利用されていることが明らかとなった。 2.口腔バイオフィルムのメタボローム解析の展開(糖アルコール代謝動態):さらに齲蝕予防効果があるとされる糖アルコールを用いた研究に着手した。ソルビトール代謝前後での口腔バイオフィルムおよびミュータンスレンサ球菌のメタボローム解析を行い、グルコース代謝時の変化との比較検討などを行った。この点については、他の糖アルコールも含め、次年度において検討を加えていく予定である。 3.ライブラリーデータの充実化:検出対象となる各物質の同定・定量をより迅速に正確に行うため、それらの物質の標準試薬を用いて、必要なライブラリーデータ(各物質のCEによる検出時間並びにTOFMSによる精密質量(m/Z)に関するデータベース)の整備を進めた。この結果、口腔バイオフィルム内で機能している代謝経路、代謝酵素の推定が容易になった。 本研究結果の一部は、国際歯科研究学会(IADR)、歯科基礎医学会、日本歯科医学会総会などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災による遅れを取り戻し、当初予定していた研究計画が実施されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に申請時の「研究の目的」に沿って本課題を推進する。とくに糖代謝に関しては、齲蝕予防効果が期待される糖アルコール等の代用甘味料を含めた様々な糖質の口腔バイオフィルムによる代謝を検討し、齲蝕との関連性を検討して行く。一方、アミノ酸代謝に関しては、これまでの研究結果から得られた新たな知見(口腔バイオフィルムの持つ広範なアミノ酸代謝活性とその複雑さ)を鑑み、口腔バイオフィルムを構成する代表的アミノ酸代謝菌を用いて、アミノ酸代謝メタボローム解析を行い、メタボロームデータ・プラットフォームを構築することを先行する。
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Research Products
(22 results)