2010 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の病院に勤務する看護師の交替制勤務のあり方に関する研究
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22390415
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
井部 俊子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50365839)
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Keywords | 看護師 / 交代制勤務 / シフト・ワーク / 夜勤 / ワークライフ・バランス / ドイツ / フランス / 急性期病院 |
Research Abstract |
研究初年度は、欧州諸国における、看護職の交代制勤務の現状と成立要因を多面的に探ることを目的として、文献検討を行ない、訪問先の施設を選定し、2カ国(4病院)の訪問調査を実施した。 初めに、欧州諸国と日本の保健医療福祉のあり方をOECDの各種データを用い比較検討を行い、我が国と保健医療福祉のあり方が類似しているドイツ、フランス、イギリスを調査対象国に選定した。これを受けてドイツ、フランス、イギリスの医療、看護制度について文献検討を行った。このほか、夜勤及び交代制勤務に関する知見を得るため、研究論文のほか、夜勤・交代制勤務に関する原則、提言として「ルーテンフランツの9原則」「ポワソネのヘルスワーカー6原則」「EU労働時間指令」等を収集した。これらから夜勤および交替制勤務が及ぼす、勤務従事者の労働安全、健康、社会生活への影響と、対処方法が見出された。 次に、ドイツの急性期医療において代表的な病院を2つ選定し、病院の視察と看護部長や看護師長を対象としたインタビュー調査を行なった。その結果、看護管理者は、夜勤および交代制勤務をする看護師を確保するため、「労働時間に対する希望の受け入れ」「短時間勤務者導入による長期の離職の回避」「労働時間及び休暇の管理」を重要視していた。また、ドイツでは、EU労働時間指令により労働者には「24時間につき最低連続11時間の休息期間の付与」が義務づけられ「日勤-深夜」「準夜-日勤」といった勤務計画は存在しなかった。交代制勤務のあり方を検討するうえで、EU労働時間指令のような規制が有用であることが示唆された。 さらに、フランスにおいても同様の調査を行なった。その結果、看護師は契約により決められたシフトに勤務しており、日ごとに違ったシフトに入る交代制勤務はなされていなかった。また、急な休みに対応するための特定の部署に所属しないフロートナースの雇用がなされていた。
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