2011 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の病院に勤務する看護師の交替制勤務のあり方に関する研究
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22390415
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
井部 俊子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50365839)
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Keywords | 看護師 / 交代制勤務 / シフト・ワーク / 夜勤 / ワークライフ・バランス / イギリス / 急性期病院 |
Research Abstract |
研究2年目である本年度は、初年度に引き続き、欧州諸国における、看護職の交代制勤務の現状と成立要因を多面的に探ることを目的とした。 イギリスの急性期医療において代表的な病院を3つ選定し同様にインタビュー調査ならびに病院の視察を行なった。 その結果、イギリスにおいては、人的コストの削減と安全性の向上の両立を目的として勤務表作成ソフトが広く導入されており、これにより、「有給休暇」「労働時間」「スタッフの配置数」「スキルミックス」「出退勤」「勤務希望」が管理されていた。 また、調査の結果、我が国で行なわれている16時間勤務のような長時間勤務や、「日勤-深夜」もしくは「準夜-日勤」といわれる右回りでは無いシフトの連続は見当たらなかった。さらに、イギリスにおいては看護師を経験レベルに応じて分類する「バンドシステム」があり、このバンドも考慮して看護師の勤務計画を立てることにより日々提供する看護ケアレベルの均一化を図っていた。看護師の急な休みへの対応として、バンクシステムと呼ばれる、病院グループが運営する看護師の派遣システムが機能していた。また、コストを勘案し、各病院の看護職を増員する動きもみられた。 イギリスにおける調査から得られた、我が国の看護師の交代制勤務への示唆として、「勤務表作成ソフトの活用による明確なシフト管理」「看護師のスキルレベルの明確化と勤務管理への適用」「看護師の急な欠員を補充するシステムの確立」が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間を3年とし、このうち、初年度においては、文献検討に基づく欧州諸国の医療・看護制度や病院勤務の看護師の勤務実態関する基礎的理解を深めることならびに、欧州における視察および調査としていた。また次年度においても欧州における視察および調査と、日本の病院勤務の看護師の新たな勤務体制のあり方をまとめるとしていた。いずれについても、当初の予定通り実施をしていることから、本研究の実施は、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
欧州3カ国におけるデータ収集は終了したため、これらの結果の比較分析を進める。 また研究最終年度となる本年度は、調査報告ならびに今後の我が国における看護師の交代制勤務のあり方についての検討を広く看護管理者及び看護管理学の研究者とともに行ない、我が国の看護師の交代制勤務のあり方について、モデル構築を行なう。 さらに、本研究の研究成果報告書の作成と、学術学会誌への投稿を行なう。
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