2012 Fiscal Year Annual Research Report
生活と医療を統合する継続看護マネジメント能力を育成する教育プログラムの開発と検証
Project/Area Number |
22390440
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長江 弘子 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (10265770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷垣 靜子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80263143)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 継続看護 / 看護マネジメント / 教育プログラム / 学習支援環境 / 看護師の自律性 / 看護師の思考過程 |
Research Abstract |
本年度は、暫定的教育プログラムの修正および作成、実施評価を目的として実施した。それゆえ、まず第1に「継続看護マネジメントの実態」調査結果の分析を行った。その結果、継続看護という用語の定義の曖昧さ、それをどのような場面で用いるかについて訪問看護事例や退院調整事例において共有化できない実態が明らかになった。そこで、以下のような観点で暫定的教育プログラムの構成や内容を大幅に修正することとなった。 1)調査結果から、学習者に必要と知れている教育プログラムは多様で複雑な事例が増えているため経験年齢別のプログラムより、継続看護と看護マネジメントという用語と実践とのつながりが理解できるような教材が必要である。 2)継続看護マネジメント能力を育成するには、看護自身の知識技術や看護実践を振り返るという取り組み姿勢の意識化が重要である。さらに看護師のマネジメントの実際を反映できる実践教材として記録システムが重要で日常的な実践を言語化する環境の準備も必要である。 以上のような結果から、本年度末2月に、より実現可能性を高める教育プログラムを作成するためオランダのBuurtzrog事業所の教育プログラムやシステムを研修し看護師が自分の看護実践を自ら高め、看護判断を示す能力開発の方法を再検討した。研究協力にIT開発者と訪問看護管理者を同行した。その後、教育プログラムの核となる事例と概念開発した「継続看護マネジメント」とのつながりを示す教材作成を行った。さらに今年度の成果としては、継続看護の構成要素を明確化した論文として英文誌への投稿を行い、採択された。 これらの成果を基盤として、最終年度では「生活と医療を統合する看護学」という書名で継続看護事例をテキストとして発行する予定である。このテキストを用いて次年度は全国的なセミナーとして継続看護の教育プログラムを実施し、プログラム評価の手法を用いて評価する計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果として昨年度行なった実態調査の結果を生かして教育プログラムの内容の変更を大幅に行った。この調査結果を反映させる意義は、継続看護マネジメント概念の理解をしたうえで看護師がより論理的な思考ができるプログラムの必要性が確認できたことである。継続看護を必要とする実践事例はより複雑で多様性を有しており、その現実に対応する看護師には、より現実的な課題を解決するための能力を実際の現象とつなぎ合わせていく教材が必要である。さらに、それは研修だけでなく職場環境も同時に必要であることが確認できた。いわゆる職場における仕組みとしての学習環境である。さらに、この試行錯誤のプロセスで「生活と医療を統合する看護学」という書籍の発行や英論文掲載となったことは大きな成果であると考える。これらの成果から、次年度の最終年度の目的達成に有用なステップになると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
教育プログラムの実施と検証にあたっては、経験年数別ではなく、より「継続看護」に関心が高い看護師、または自分の看護実践を振り返り改善したいと考えている看護師など、学習ニーズのある看護師に教育プログラムを展開したいと考えている。 よって、①理論と実践を結び付ける教材開発、②教材と考え方を記したテキストの発行、③全国セミナーとして数回東京で開催、④学会でのワークショップの開催、⑤今年度の評価、を実施する予定である。 これらの結果をもとに今後、1事業に限定した教育プログラムや一定の地域に限定したプログラムなど、研究班を目的別プログラムを作成する予定である。 引き続き、研究が継続するよう申請予定である。
|