2012 Fiscal Year Annual Research Report
精神科外来における精神疾患患者への支援・相談機能の強化
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22390451
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
田上 美千佳 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (70227247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 眞裕美 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (70315670)
新村 順子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (90360700)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 精神疾患患者 / 精神科外来 / 地域生活促進 / 外来ケア / 相談機能 |
Research Abstract |
精神疾患患者および家族の適切な精神科外来受診の支援体制の構築に寄与し、精神疾患患者の早期支援ならびに再入院の予防・病状悪化の早期発見・対応による患者と家族への地域生活の促進を図るためのケアの方向性を検討することを最終目的とし、精神科外来支援の実態を把握して課題を明らかにするための検討を行った。すなわち、 1.全国実態調査分析結果を専門誌に投稿した。その内容は、スーパー救急病棟全80機関(平成22年8月時点)の病院管理者・看護部長あるいは病棟師長に対して、自記式質問紙調査を実施した。その結果、看護師が主体的にケアプログラムを導入できる方が自宅および福祉的施設へ退院していた。また、自宅および福祉的施設への退院が多い機関ほど、退院した患者に初回受診の有無を確認するという外来での支援がなされていた。スーパー救急病棟での基本的な看護ケアの格差の是正、退院後の生活をふまえた看護師による主体的なケアプログラム導入と外来との連携強化、外来ケアの充実を図る必要性が示唆された。 2.看護師を対象としたスーパー救急病棟退院患者のケアに関する悉皆調査分析では、患者へのケアの実施率は60%以上と高いケア項目が多い反面、家族へのケアや退院後のプログラムの導入、関係機関とのケア会議という退院後の生活にむけた連携や調整等、支援体制整備に関するケアの実施率は全期間を通して10~50%未満と低かった。また、入院期間別に30日未満、30から60日未満、60日から100日未満の3群に大別して患者の状態やケアを比較したところ、退院後の生活にむけたケアは入院後半に行われ、入院期間の長い群の方が様々なケアを実施されていた。 3.支援プログラムの実施による介入研究体制整備を行った。つまり、対象機関の協力依頼、策定した支援プログラムの修正、調査バッテリーの検討・実施方法の手順検討等を行いを行い、介入研究実施体制を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の方法は、1.精神科外来でのケアの現状・ケアニーズ把握のための面接調査、2.全国精神科スーパー救急病棟質問紙調査実施・分析、3.支援プログラム(モデルづくり)策定である。今年度は2の結果の一部を専門誌に投稿した。さらに、1,2の過程から3の支援プログラム(案)の策定を行い、介入研究のための調査バッテリーの検討、研究対象機関との協働を図るために協力機関の検討・協力依頼・連携を深めてきた。同時に、対象機関に合致した支援プログラム実施方法の検討を行い、対象機関倫理員会への申請の準備を行った。 したがって、順調な進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果の分析と介入研究を実施する。 1.調査分析:悉皆調査の分析継続。 2.支援プログラムによる介入実施・評価:1)調査対象 (1)患者の要件:①精神科スーパー救急病棟に入院中であり、退院後対象医療機関に通院する患者。②統合失調症圏・気分障害圏を中心とした精神疾患の診断。③主治医等により介入による侵襲がないと判断。(2)人数:20名程度。2)調査方法 (1)ケースの選定:患者を無作為に介入群と非介入群とに分ける。(2)【介入群】介入1:退院時にアセスメントシートを用いて、退院後に必要と思われるケアを同定、ベースラインの評価実施。介入2:病棟ナースと外来ナースとで上記アセスメントの内容について共有。介入3:①患者の退院後から6か月、外来受診時に、主に外来ナースや専門看護師による面接、声かけ等の患者の状態をモニタリング。また、必要に応じたケアを、支援プログラムに基づいて実施。②退院後1か月・3か月・6か月後・1年後の評価を行う。(3)【非介入群】通常の外来支援を行い、1か月・3か月・6か月後・1年後の評価を行う。 3)評価:各調査バッテリーについて介入群、非介入群での比較を行う。 4)調査バッテリー:(1)デモグラフィックデータ・(2)受療状況:再入院の有無等・(3)社会資源の利用状況・(4)患者の症状や社会生活の程度を問う尺度。 以上により、介入の効果を明確にして、外来支援プログラムを提示する。
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Research Products
(2 results)