2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化と東南アジアのプランテーション―アブラヤシが変える経済・自然・共同体
Project/Area Number |
22401013
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
林田 秀樹 同志社大学, 人文科学研究所, 准教授 (70268118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 武 同志社大学, 経済学部, 教授 (40104749)
加藤 剛 総合地球環境学研究所, 研究推進戦略センター, 客員教授 (60127066)
田中 耕司 京都大学, 地域研究統合情報センター, 名誉教授 (10026619)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
藤田 渡 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (10411844)
生方 史数 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (30447990)
北村 由美 京都大学, 附属図書館, 准教授 (70335214)
増田 和也 京都大学, 生存基盤科学研究ユニット, 研究員 (90573733)
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Keywords | アブラヤシ / パーム油 / 東南アジア / プランテーション / 小農 / 農園企業 / 森林消失 / 国際研究者交流 インドネシア |
Research Abstract |
本研究は、(1)アブラヤシ農園拡大のグローバルな背景、(2)農園開発を促進するディスコース、(3)農園の拡大過程、(4)農園の運営状況、(5)農園所在地域の社会変容、(6)農園開発に伴う環境負荷という6つの課題を設定して活動を展開してきた。 上記6つの課題に関連して、H.23年度は8回の研究会を開催し、15名(うち本研究メンバー4名、外部講師11名)が研究報告を行った。研究会において報告を行ったメンバーは、自らの研究をまとめて発展させていく契機とすることができたし、報告を行わなかった者も、自らの関心と関連したテーマで行われた他の研究報告から刺激を受け、研究交流の契機とすることができた。特に、7月2日の研究会では、インドネシアから2名の講師を招き、同国のアブラヤシ・パーム油関連産業の振興策と西カリマンタン州における国営農園企業によるアブラヤシ農園開発についての報告・討論を通じ、国際的な研究交流を行った。このほか、アブラヤシ・パーム油の生産過程で発生する多様なバイオマスの利用について、主に日本とマレーシアとの間で進められてきている共同研究開発に関連する研究報告を2名の日本人外部講師から受けて、上記課題(6)についての知見を深めた。また、インドネシア東カリマンタン州で、地元住民が容易にアブラヤシ農園の開発計画に賛同せず、従来からの生計活動を維持しようとしている様子についての報告や、同じ東南アジアの国であっても、ベトナムでアブラヤシ農園開発が進展していないのはなぜかについて検討した報告など、多彩な研究報告を組織し、国内研究者との研究交流も進展させることができた。 以上のようなH.23年度の活動は、本報告に挙げる具体的成果としてまだ現れていないものもあるが、遠からず論文や学会発表、著作というかたちで成果にしていくための土台をつくるうえで十分に意義ある活動であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、各メンバーが従来から調査対象としてきた国・地域においてアブラヤシ農園開発がどのように進みつつあるか、それが当該国・地域の社会にどのような影響を及ぼしているかについて調査・研究し、それを長期休暇期間中を除いて毎月開催する研究会で報告し合うか、あるいはその研究会において必要に応じて外部からも報告者を招いて研究交流を図るという活動スタイルを確立してきている。そうした活動スタイルを今年度も維持し、前年度よりもさらに発展的に研究交流を重ねることができたという点では、順調に研究課題の遂行が進捗していると評価できる。 ただし、所属機関での公務その他の諸事情で、国内外での調査を実施できずに終わったメンバーもおり、一部予算を次年度に繰越さざるをえなかった。これについては、その繰越予算を使って次年度どのような活動を展開するかを課題として残すことになった。 また、各自調査を実施してきているものの、本研究のテーマと関連する学会報告や論文等の成果にまだ結びつけられていないメンバーもいることは確かである。ただし、これらのメンバーも、継続して実施してきている調査の結果を成果に結びつけるための努力は常々欠かしていない。そして、すべてのメンバーは、上述の定例研究会の場で自らの調査経過と問題意識を交流し、互いに有益な情報を交換・共有し合い、本研究の最終年度となる次年度に向けて研究グループとして着々と課題遂行に励んでいる。以上が、おおむね順調に研究目的を達成しつつあると評価できる理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、メンバー各自の調査研究と定例研究会での研究報告、外部講師による同研究会での報告・討論を通じた研究交流というこの2年間で確立してきた本研究の活動スタイルを今後とも維持し、各自の研究成果を積み重ねていくことが、本研究の課題遂行を推進する基本的方策である。そして、それらの研究成果を学会報告や著書、論文の執筆等につなげていくこと、とりわけ、関連学会においてパネル・分科会を組織するなどグループで研究を公表していくことを、研究を推進する具体的な次段階の方策として位置づけたい。現在まで、個別に学会報告、論文執筆等に取組んできているが、現時点では、そうした成果公表をグループとしてまとまって行うという取組みはできていない。まとまった成果公表を行うことにより、個別の成果間の関連を世に問うことで、グループとしての取組みからどのような成果が生まれつつあるかを発信できると考えている。 ただし、9人のメンバーがすべてまとまって成果公表を行うことは困難であるから、意義あるかたちで成果をまとめて公表できると判断できるサブ・グループを人事組織して、適切な公表の場を選択してそれに向け準備を整えていくことが肝要であると考えている。その第1段の取組みとして、平成24年6月に開催される東南アジア学会でのパネル組織をに向け取組みを進めている。このパネルでは、本研究のメンバー3名(藤田、生方、増田)が報告者となり、1名(林田)が司会を務めるとともに、この間の研究会活動を通じて研究交流を行ってきた外部研究者1名(永田淳嗣・東京大学大学院総合文化研究科・准教授)を討論者として迎える予定である。このほかにも、同様のパネル・分科会等を組織して、成果公表の実績を積重ねていくことを検討している。
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Research Products
(12 results)