2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア民俗文化の新たな枠組の構築をめざす基礎的研究
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22401038
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古家 信平 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40173520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 浩一 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (00165888)
丸山 宏 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00229626)
武井 基晃 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00566359)
徳丸 亜木 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90241752)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 台湾 / 霊的職能者 / 法師 / 俗信 / 儀礼書 / 南西諸島 |
Research Abstract |
本研究課題に沿って本年度は、①昨年度に引き続き霊的存在に関する民俗資料の所在確認、②南西諸島および台湾への現地調査、③研究成果の検討会を行った。 ①に関しては、断片的な史資料に記録されているものについて引き続き収集する努力をした。本研究で対象とする資料は地方史の記録や随筆類、日記等の個人の所蔵する資料の中に散見されるため、その確認には相当な時間を費やすことになった。しかし、遅々としてはいるが、資料収集は着実に進めることができた。図録等の資料については筑波大学図書館に所蔵のものに関してはほぼ終了できた。 ②に関しては、南西諸島と台湾において現地調査を行い、霊的職能者の持つ儀礼書の確認と、それが実際の儀礼の中でどのように利用されているのかについて、対応関係を明らかにすることを心掛けた。これまでに台湾では法師の行う儀礼について、儀礼の過程のビデオ撮影とそれに関する意味付けの調査を進め、資料化を行ったが、儀礼のバリエーションの一端を明らかにしたところにとどまっている。また、依頼者の側の意味付けについては台湾語の運用についての限界もあって、霊的職能者のそれとの齟齬を明らかにするところまでは踏み込めなかった。 ③上記の研究活動を支えるため、随時、研究分担者相互に研究情報の交換を行った。収集した資料を共有することによって、これまでの作業の欠落部分を確認するとともに、今後の現地調査での補強するべき部分について確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は中国周縁部の日本本土・南西諸島、韓国、台湾において、第4の霊的存在を確認することにある。これまでは物質文化資料、特に博物館の図録から抽出する作業を行い、かなりの成果を上げてきた。 フィールドワークの成果に関しては、台湾では現地の法師の判示が調査期間中に行われるものに限られ、偶然の法事を観察することにならざるを得ないので、法師の儀礼の全体を把握することはかなりの困難が伴う。そのため、現地調査の資料に関してはかなり制約されたものにとどまっている。ただ、2週間程度の訪問にしても、繰り返すことにより、重複していない儀礼を観察できるため、バリエーションの多くを覆うように事例数を増やす方向には来ている。 南西諸島に関しては、ユタの判示場面の資料を収集してきた。ここで明らかになったことは、1972年の本土復帰以来のヤマト化が判示内容にもうかがえることである。その外的要因については、まだ十分に考察できる段階にはないが、すべてを外的要因でとらえることの危険性についても留意すべきである。この点については、台湾、韓国の調査を行っている分担者との共同研究の意味が問われる比較民俗論としての検討を踏まえて、分析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も3つの側面から進めていくことに変わりはないが、平成24年度に留意点とした点について、平成25年度はさらに深い検討を進めていきたい。物質文化資料の収集については、台湾と韓国の博物館図録の検討を行い、特にそこに見出される意味付の違いに注目したい。ここで問題となるのは、韓国語から日本語への翻訳の際に、民俗語彙のまま意味内容を記述する方法をとりつつ、概念化を図ることである。十分な実態報告を行いながら民俗語彙を超えた概念語への転換を試みたい。 フィールドワークは台湾と韓国において実施し、比較の視点を持って検討する。台湾の法師に対比するために韓国の巫堂の儀礼を資料化し、さらに多島海地域の民俗調査を行う予定である。台湾ではこれまで実施してきた台南よりも南部の高雄近辺の法師の儀礼の調査を実施する。これにより系統の異なる法師の儀礼と儀礼書を比較することが可能になる。 平成25年度が計画の最終年度となるので、報告書をまとめる予定である。
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Research Products
(9 results)