2011 Fiscal Year Annual Research Report
インドの農村の貧困女性たちの経済的自立について-成功と失敗を分ける分岐点は何か
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22402044
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
山下 明子 公益財団法人世界人権問題研究センター, 客員研究員 (20465959)
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Keywords | インド / 農村の貧困女性 / 自助グループ / 無担保少額融資 |
Research Abstract |
1平成23年8月から9月の32日間、南インドのタミールナードゥ州ヴィルップラム県とティルナッマライ県で農村の困女性、とくにダリット(旧「不可触民」)女性の経済的自立の状況について調査した。ヴィルップラム県ジンジー郡ルマライアヌール地区では、ダリット女性NGOがつくった約1000の無担保少額融資の自助グループ(S.H.G.)とその個の継続調査を行った。今回は人数を絞って、前年に調査した個人をふくめて私的生活についても話を聞く面談方法をった。グループについては、困難に直面しているグループを選び、その内容と経過を観察した。新しい地区では、掃人カーストの女性の面談をした。S.H.G.活動により、自信と希望を得た女性たちの変化は非常に大きいが、DVなどの力、レイプ、銀行や役所、村の権力層との関わり方、闇金融など、新たな問題点も明らかになった。 2平成24年2月から3月の30日間、カルナータカ州のコーラル県バンガラペットとK.G.F.で、前年からの継続調査行った。今回は、とくにアンドラ・プラデッシュ州との州境に位置する村々で、成功したムスリム女性のグループやカーストの女性グループ、困難なダリット女性のグループなどの比較調査をした。また、売春女性たちのグループにまってもらい、個人面談をした。元金鉱労働者の町であるK.G.F.の女性グループは、NGOのワーカーの継続的支援を受ているグループは地域の発展や起業などでも成功し、自信を得ている。昨年の調査時の闇金融の問題は克服していたが新たな問題は教育を受けた娘たちの就職と都市への長距離通勤に伴う性暴力被害の増加である。家庭でのDVも減少しいない。そこで今回は宗教的な穢れの意識とセクシュアリティなど共同体の変化についても面談調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
辺鄙な農村での調査の困難が予想されていたが、草の根の女性NGOの協力を得て、予想以上に多くの個人や関係機関、役人の面談を行うことができた。もし調査の開始が1年遅れていたら、政治的情勢で村に入るのが困難だったと思われる
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は西インドの都市部の貧困女性の自助グループや農村での協同組合活動を調査し、南インドの農村での調査内容と比較する。これまでの大量の調査内容の数値化を含めて、貧困女性の経済的自立の内容を分析する必要がある。また、多くの長時間個人面談から浮かび上がってきた深刻な性暴力の問題について、原因を分析したい。
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