2013 Fiscal Year Annual Research Report
大陸のテクトニクス:大陸の姿・形を変えた様子を古地磁気学から探る
Project/Area Number |
22403012
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
乙藤 洋一郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90160895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 康司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10510745)
山崎 和仁 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20335417)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | テクトニクス / 大陸変形 / 古地磁気学 |
Research Abstract |
1. 岩石試料採取: 2013年度は、カンボジア,マレーシア,中国・四川省に調査隊を派遣した。(1)カンボジア:インドシナ半島の変形の様子を知るために、カルダモン山地に分布するジュラ紀・白亜紀の赤色砂岩を研究対象とし、日本人5名とカンボジア人1名の調査隊を結成した。調査・岩石採取は2013年3月25日から4月9日に実施した。計33か所から250個の岩石試料を採取した。(2)マレーシア:マレーシア半島の変形の様子を知るために、マレーシア中部域に分布するジュラ紀・白亜紀の赤色砂岩(Tembeling Group)を研究対象として、日本人4名、中国人1名そしてマラヤ大学の研究者1名の調査隊を結成した。調査・岩石採取は2013年6月3日から6月18日に実施した。タマンネガラでは、テンベリン川とタマン川にそって17か所で試料を採取した。それより南部では道沿いで22か所、計39か所で166㎏の岩石を採取した。(3)5人の中国人研究者が、南中国地塊と北中国地塊とが衝突した地域である四川盆地北部の万源に赴き、2013年9月5日から9月20日に、三畳紀の岩石採取を行った。 2. 残留磁化測定:京都大学大学院人間・環境学研究科の無磁場実験室内に設置された超伝導磁力計を用いておこなった。カンボジアでは、コッコンの赤色砂岩に初生磁化が残されていることがわかった。マレーシアでは、ほとんどの岩石は二次的に磁化を獲得したことがわかった。ところが、タマンネガラで3か所、南部域で1か所、初生磁化が残っていることがわかった。 3. 論文:パキスタンのコヒスタン地域の大陸変形について、古地磁気データに基づき、変形テクトニクスを議論し、論文として発表した。日本列島の九州・野間半島でテクトニクスの研究が目的で岩石を採取した際、その岩石のなかに地球磁場のエクスカーションが記録されているのがわかり、それを論文とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大陸の変形の研究のために、アジア大陸の東南アジのカンボジアとマレーシアから岩石試料を採取できたことは、とても満足度が高い。とくにカンボジアのカルダモン山地は、内戦後の地雷の放置のためにいままで近づけなかったものの、近年大きな道が開発され、道沿いでのみ試料採取可能となり、カンボジアにおける地球科学研究が開始できるようになったことは意義深い。カンボジアやマレーシアで岩石試料を採取できたことは、インド大陸の衝突にともなうアジア大陸の変形がインドシナ半島のどの程度までに及ぶかを研究できる点で興味深い。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 再調査:マレーシアにおいて、一昨年度の予備調査で岩石試料を採取したマレーシアのタマンネガラの測定結果が求まり、赤色の砂岩のみが信頼に足る残留磁化を記録していることがわかった。そして昨年度の本調査で、赤色岩石のみを採取した。それらの岩石の残留磁化を測定した予備的な結果、4か所でのみ初生磁化が残されていることがわかった。それら4か所の近傍で、今年度もう一度再調査を行い、初生磁化の残された岩石の採取をおこなう。 2. 残留磁化の測定:エチオピアの洪水玄武岩、インドのProterozoicの火山岩、カンボジアのジュラ紀・白亜紀の赤色砂岩、マレーシアのジュラ紀・白亜紀(Tembeling Group)の赤色砂岩、中国・四川省の三畳紀の赤色砂岩の測定を継続して実行する。赤色砂岩については、京都大学大学院人間・環境学研究科と高知大学コアセンターの無磁場実験室内に設置された超伝導磁力計を用いておこない、火山岩については神戸大学のスピナー磁力計で実行する。 3. 議論:ジュラ紀のロシア・ズラフレフカテレインの堆積物、白亜紀のロシア・マガダンの火山岩の残留磁化のデータが蓄積され、そのデータの持つ意味について議論を深めていきたい。
|
Research Products
(2 results)