2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国山西省におけるヒ素発がんの臨床疫学的研究および発がん・悪性化のリスク評価
Project/Area Number |
22406006
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
馬 寧 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (30263015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (10025637)
井上 純子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (20378657)
大西 志保 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (80511914)
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Keywords | ヒ素 / 発がん / 炎症 / ニトロ化ストレス / 臨床疫学 / 癌幹細胞 / HaCaT細胞 / バイオマーカー |
Research Abstract |
地下地層にヒ素が含まれる地域では、地下水汚染など、ヒ素の自然環境汚染・ヒトへの健康影響が深刻である。ヒ素による発がんには、慢性炎症が重要な役割を果たすと考えられる。炎症条件下では炎症細胞や上皮細胞から活性酸素・窒素種が生成され、8-ニトログアニンなどの変異誘発性DNA損傷塩基を生成して発がんをもたらすと考えられる。我々は、これまで種々の臨床検体および動物モデルで8-ニトログアニンが発がんに関連して生成されることを明らかにしている。 本研究では、中国北部の山西医科大学の医師・研究者と共同で、地下水ヒ素汚染地域の住民を対象とした検診・採血・採尿を行い、井戸水のヒ素濃度の測定を行った。また患者の酸化的DNA損傷の指標である8-oxodGについて、患者の血液・尿を測定・解析した。その結果、ヒ素汚染地下水を長期間飲用し、皮膚病理変化を認めた患者では、血液・尿中で8-oxodGの有意な上昇が認められた。 さらに、我々はヒト表皮角化細胞由来HaCaT細胞を用いて、0.05PPM砒素を含む培地中で培養を行い、経時的に免疫染色を行った。その結果、一部のヒ素暴露細胞において明瞭な8-ニトログアニンの生成を認めた。20週間ヒ素暴露した培養細胞は、腫瘍形成能を獲得することが明らかとなり、この細胞をヌードマウスの皮下に移植すると腫瘍を発生し、3週間で直径約10mmに達した。ヒ素暴露による腫瘍組織でのがん幹細胞を解析するため、c-Myc, Racl, CD34, CD44, CD133などのマーカーを用いた解析や、損傷DNA塩基の解析を、現在進めているところである。 また、ヒ素慢性中毒モデルマウスを作成し、ヒ素による中枢神経の神経細胞において明瞭な8-ニトログアニンの生成を認めた(J Biomed Sci.2010 17:S7,1-6)。
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Research Products
(23 results)