Research Abstract |
1.音声障害の概周期性を表すジッタ,シマ,声門閉鎖不全に関係する加法的雑音量の測定法について,現在国際的なデファクト・スタンダードともいえるKayPentax社のMulti Dimensional Voice Program(MDVP),アムステル大学で開発され広く公開されているPraat,及び我々が開発したL-Voiceにおけるアルゴリズムの比較調査を行うための資料の収集を図り,予備的検討を行った.また,その評価に必要な合成音声の仕様を策定し,次年度予算で取得する準備を行った. 2.健常者音声200名と病的音声200名について,L-Voiceによる音響分析を行った.次年度に予定している,MDVP,Praatによる分析の結果と比較検討し,アルゴリズムの違いが及ぼす音声障害の音響評価結果への影響について,次年度に検討する. 3.ジッタ,シマ,喉頭雑音などは,加齢に伴って変化するので,そのことを考慮に入れて音声障害の評価を行う必要がある.今年度は,男性29名,女性59名の話者について,10年から24年にわたる通時的調査研究を行った.その結果,個人差はあるものの,加齢に伴って,1)基本周波数は男性では55%が,女性では80%が下降すること,2)ジッタは比較的安定だがシマでは80%以上が増大すること,3)高周波数帯域での喉頭雑音の相対的量は男女にかかわらず80%以上が増大すること,などが明らかになった.この結果は,国際会議や国内学会で発表した.
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