2010 Fiscal Year Annual Research Report
Fgfr3の神経幹細胞特異的な発現制御機構解析と大脳形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
22500288
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武内 章英 京都大学, 医学研究科, 助教 (90436618)
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Keywords | 神経科学 / 発生・分化 / FGFR3 / 可視化 |
Research Abstract |
哺乳類の大脳形成過程における神経細胞の分化制御と増殖調節は、シグナルセンターと呼ばれる脳の特定の部位から分泌される細胞増殖因子により制御されており、特にFibroblast growth factor 8(Fgf8)とそのレセプターのFibroblast growth factor receptor 3(Fgfr3)が中心的な役割を担っている。このFgfr3の発現は神経幹細胞に限局し、かつその発現に脳内での部位特異性があるが、このFgfr3の発現制御メカニズムはまだほとんど明らかにされていない。そこで我々は、哺乳類の大脳形成過程において、神経幹細胞に特異的に発現するFgfr3の発現制御機構を解明することにより、Fgfr3を介した神経幹細胞の分化・増殖制御機構、領域特異的性質の獲得機構を明らかにし、さらに制御因子の機能解析から大脳形成の分子メカニズムの解明を目指した。本年度で神経幹細胞に限局したFgfr3の発現制御は、(1)プロモーターによる制御、(2)Fgfr3の相互排他的なexon9/exon10の選択的スプライシング調節を介した制御、の2つにより調節されている事を明らかにした。さらにこの2つの制御が、神経幹細胞のみに限局させる制御と神経幹細胞発現の部位特異性形成にどのように関与しているのかを明らかにするために、蛍光タンパク室をコードするcDNAを用いて2つの制御それぞれをモニターするレポーターベクターを作製して、in utero electroporation(子宮内マウス胎児遺伝子導入法)にてアッセイを行った。その結果、内在性の(1)(2)の両方の制御が予想外に厳密に働くことでFgfr3の発現を強く抑制している事が判明し、Fgfr3の発現レポーターが十分機能しない事が明らかとなった。そこで我々は、このアッセイ系をさらに改良して、一過性発現から神経幹細胞での恒久的な発現が得られるようなベクターシステムへと改変を行った。この改良したレポーター系を用いて、次年度以降さらに解析を進める。
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