2011 Fiscal Year Annual Research Report
中脳ドーパミン系の投射様式とパーキンソン病の発症に関与する神経基盤の解明
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22500307
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松田 和郎 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80444446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 治 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (80239772)
本間 智 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40285581)
古田 貴寛 京都大学, 医学研究科, 助教 (60314184)
藤山 文乃 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20244022)
薗村 貴弘 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (40347092)
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Keywords | パーキンソン病 / ドーパミン / 黒質 / 視床下核 / 大脳基底核 / 淡蒼球 / 直接路 / 間接路 |
Research Abstract |
黒質線条体路においては、単一のドーパミン細胞の軸索は線条体以外にほとんど投射せず、線条体のみに広範囲かつ高密度に分布していることが分かった。また、μオピオイド受容体との二重染色により、多少の指向性はあるものの、単一ドーパミン細胞の軸索は線条体のストリオソーム(パッチ)とマトリックスのコンパートメントに同時に送られることも明らかにされた。 以上のことは、パーキンソン病における黒質ドーパミン細胞の脆弱性と予備力という二面性が説明される。すなわち、パーキンソン病ではドーパミン細胞の7割以上が脱落して初めて発症し、残存するドーパミン細胞においてもなおドーパミンの前駆体(L-dopa)が有効であることが知られているが、この原因として単一のドーパミン細胞の有する広範囲かつ高密度な軸索投射により線条体に何重にも軸索が重なりあっていることが予備力を実現していると考えられた。 また、本研究では、線条体から淡蒼球内節、黒質網様帯、淡青外節に投射する経路の解析を行った。この結果、ストリオソームのみならずマトリックスにも直接路(淡蒼球内節/黒質網様帯への投射)と間接路(主として淡蒼球外節への投射)投射細胞が存在することが判明した。また、ストリオソームにおける線条体黒質路細胞だけが、黒質緻密帯に主として出力し、一定量の側副路を淡蒼球、黒質網様帯に出力することも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、学内におけるP2レベル感染実験室内に定位手術室のセットアップを完了した。また、これまでに得られた連続切片標本を解析するために必要な解析装置およびコンピュータソフトウェアを入手し、一部の標本について解析を行った。これらのデータの一部は平成23年度中に学会発表することができた。以上から、研究活動は概ね計画通りに進展しており、全体として特に遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータを解析し、学会発表および論文・著書の出版を通じて成果発表を行う。
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Research Products
(8 results)