2010 Fiscal Year Annual Research Report
INI1蛋白不活性化の有無からみた中枢神経系ラブドイド腫瘍の臨床病理学的研究
Project/Area Number |
22500319
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平戸 純子 群馬大学, 医学部, 准教授 (60208832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 朋実 群馬大学, 医学部, 助教 (30455951)
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Keywords | INI1蛋白 / ラブドイド腫瘍 / 非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍 / rhabdoid cell / composite rhabdoid tumor / epithelioid/rhabdoid glioblastoma / choroid plexus carcinoma |
Research Abstract |
群馬大学附属病院や関連施設の症例およびコンサルテーションを依頼された症例の中から、ラブドイド腫瘍27例を抽出し検索した。このうち16例がINI1不活性化を示し、11例はINI1蛋白が保たれていた。不活性化群は、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(AT/RT)に相当する腫瘍で、形態学的多様性やマーカー発現のパターンは従来の報告に一致する特徴を備えていた。新たな点として、年長者には発生するAT/RTでは、間葉系要素や間葉系基質を形成する傾向が認められた。一方不活性化のない群は組織像の再検討から、このうち8例は、典型的なラブドイド細胞を含む症例もあるが、多くはepithelioid cellといわれる細胞が主体で、近年報告されたepithelioid glioblastoma(GBL)に相当する腫瘍と考えられた。文献的にはrhabdoid GBLとepithelioid GBLは区別されているが、本来両者を分けることは難しく、epithelioid/rhabdoid GBLとすべき腫瘍と考えられた。これらはAT/RTに匹敵する高悪性度腫瘍である。2例は形態とマーカー発現の上からはAT/RTによく類似した腫瘍であるが、INI1蛋白の不活性化がない点のみが異なる腫瘍である。最近の研究でINI1と異なるBRG1遺伝子の異常を示す家族性rhabdoid tumor predisposition syndromeが報告されたことから、この遺伝子がAT/RTの第2の責任遺伝子である可能性が示唆された。今後BRG1蛋白の発現について検索する予定である。不活性化のない群はwaste basket的な群であったが、まだ、コンセンサスは得られていないもののepithelioid/rhabdoid GBLが新たな腫瘍型として認識される可能性が高い。このコンセンサスの形成に寄与しうると考えられた。
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Research Products
(3 results)