2011 Fiscal Year Annual Research Report
INI1蛋白不活性化の有無からみた中枢神経系ラブドイド腫瘍の臨床病理学的研究
Project/Area Number |
22500319
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平戸 純子 群馬大学, 医学部, 准教授 (60208832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 朋実 群馬大学, 医学部, 助教 (30455951)
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Keywords | INI1蛋白 / ラブドイド腫瘍 / 非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍 / rhabdoid cell / composite rhabdoid tumor / epithelioid glioblastoma / rhabdoid glioblastoma |
Research Abstract |
新たな6例を加え、rhabdoid featureを示す脳腫瘍33例について解析を行った。このうち17例がINI1陰性化を示し、14例はINI1蛋白が保たれていた。新たな群として、INI1陽性の従来のグリオーマの中にfocalにINI1陰性のrhabdoid featureを示す要素が出現した症例が2例見出された。陰性群は、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(AT/RT)に相当する腫瘍で、新たに未熟腺管やAFP陽性要素の出現など、未熟奇形腫様の腫瘍があり、腫瘍発生について問題を提起する症例と考えられる。一方、陽性群のうち9例では、rhabdoid cell/epithelioid cellの要素とグリオーマの要素を有している。近年報告されたepithelioid glioblastoma(GBL)に相当する腫瘍と考えられる。文献的にはrhabdoid GBLとepithelioid GBLは区別されているが、今回の検討から、本来両者を分けることは難しく、epithelioid/rhabdoid GBLとすべき腫瘍と考えられた。これらは結合性の低下とGFAP発現の低下が特徴的で髄液播種を起こしやすく、非常に悪性度の高い腫瘍である。現在1症例につきCGH法による染色体・遺伝子異常の解析を進めている状態で、3番遺伝子の欠失が腫瘍発生と関係している可能性が見出されている。また、最近の研究でINI1陰性化のない症例で、INI1/SMARCB1と同じグループのBRG1/SMARCA4の不活性化を示すAT/RTが報告されたことから、INI1陽性AT/RTが疑われる2症例につきBRG1蛋白の発現を調べたが陰性化は見られなかった。陽性群はwaste basket的な群であったが、この中からepithelioid/rhabdoid GBLが新たなGBLのvariantとして確立されるべき腫瘍と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
稀な腫瘍であるが、陰性例と陽性例を10数例ずつ集めることができて、臨床病理学的な特徴をある程度明らかにできる見通しが立ったこと。また、詳細な検索が可能な症例を1例加えられ、染色体・遺伝子異常の解析を含めて検索を進めたところ、3番遺伝子の欠失が腫瘍発生と関係している可能性が見出されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度が最終年度であるため、それぞれの群の臨床病理学的特徴をまとめて報告する。特に、陽性群の中のepithelioid/rhabdoid GBLとみなされる腫瘍について、最近、新たに解析可能な症例が1例加わったため、これについても、染色体・遺伝子異常の解析を進め、新たな疾患概念として確立できるか否か検討して、その結果を雑誌に発表する。
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Research Products
(2 results)