2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500342
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小林 克典 日本医科大学, 医学部, 講師 (10322041)
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Keywords | 抗うつ薬 / 海馬 / 神経細胞 / シナプス / 行動解析 / 不安 |
Research Abstract |
成体マウス(9週齢)に電気けいれん刺激を単回又は複数回与え、海馬神経細胞と行動に対する効果を検討した。電気けいれん刺激の24時間後に急性海馬スライス標本を作製し、電気生理学的解析を行ったところ、神経細胞の活動の特性やシナプス伝達及びその可塑性に変化が生じており、神経細胞の成熟状態が変化していることを示唆する結果を得た。さらに、生化学的検討によって成熟ステージマーカーの発現が変化することが確認された。現在、電気けいれん刺激の効果の持続性、回数依存性等の詳細な解析を行っている。電気けいれん刺激を行ったマウスを用いて、ホームケージ活動量、オープンフィールド活動量及び不安様行動、恐怖条件付けの解析を行った。現在までに活動量の上昇が生じることを示す結果を得ており、解析を継続している。 うつ・不安のモデル動物を作製する目的で、コルチコステロン慢性投与の効果を検討した。成体マウスにコルチコステロン5-10mg/kg/dayを4-7週間経口投与し行動解析を行ったところ、活動性の低下や不安様行動の上昇を示唆する結果を得た。また、海馬スライスを作製して電気生理学的解析を行ったところ、シナプス伝達の異常が見られた。体重変化等を最小限に抑えつつ、顕著な行動変化が表れるコルチコステロンの投与条件を現在検討している。それと並行して、コルチコステロン投与動物に神経幼若化を誘導する予備的実験を行った結果、通常のマウスとは異なる行動変化が生じることを示唆する結果を得た。この点も含めて、最適な実験条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度までの主な実験計画であった、電気けいれん刺激の効果の解析と不安・うつモデルの解析は実施できており、細かい条件検討の段階にあるため、計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から続く、疾患モデルの条件検討を完了するとともに、異なるモデルの条件検討も進める。抗うつ薬投与等によって神経幼若化を誘導した後にこれらの疾患モデルの行動を解析し、神経幼若化の治療効果としての可能性を検討する。さらに、神経幼若化が抑制されている遺伝子改変マウスを用いて、行動変化と神経細胞の変化の因果関係の検討を試みる。
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Research Products
(3 results)