2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500362
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
松井 広 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 准教授 (20435530)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 生理学 / シナプス / 伝達物質 / シミュレーション / 細胞形態学 |
Research Abstract |
多くの神経細胞同士は、1平方ミクロン以下のごく小さい面で、互いに接しており、このシナプス接合部において、信号の受け渡しが行われている。この狭い空間に、脳における情報処理の本質の多くが詰まっているのだが、シナプス形態のわずかな違いや発現している分子の数・分布等のわずかな揺らぎによって、信号伝達特性が大きく変わることが予想される。本研究では、シナプスの微細構造が神経細胞間の信号伝達特性にどのような影響を与えるのかを調べ、生理的機能を果たすのにどのように役立っているのかを明らかにすることを目指した。従来の研究では、シナプスにおける信号伝達特性を決める二つの重要な因子、シナプス間隙へと放出されるグルタミン酸分子の数、および、細胞間隙におけるグルタミン酸の拡散係数が、どうしても確定できないパラメーターとして残っていた。そこで、電気生理学・形態学・シミュレーションの全ての面で精緻な解析のしやすいcalyx of Heldシナプスを研究対象とし、これらのパラメーターを求めることで、細胞間隙におけるグルタミン酸の振る舞いを完全に表現することに成功した。また、これらの数値をもとに、シナプスから溢れるグルタミン酸の効果を定量的に評価することも可能になった。そこで、網膜-外側膝状体(LGN)-皮質へと伝わる初期視覚回路を研究し、視神経線維一本を立て続けに刺激すると、応答が急速に抑制されることを見出した。これは、シナプスから溢れ出た伝達物質が近隣のシナプスの受容体を脱感作させることで応答が抑制されることが原因であることが明らかになった。また、本研究から派生して、神経やグリア細胞の活動を特異的に光で制御する方法を開発し、それぞれの脳細胞間信号伝達特性を調べるための足がかりを作ることに成功。微細形態学に関しても、各種シナプス分子の形質膜状の二次元分布を定量的に評価する方法も開発できた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(18 results)