2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500367
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五味 浩司 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (90293240)
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Keywords | グリオトランスミックー / トランスジェニックマウス / 細胞内カルシウム / アストロサイト / トリパータイトシナプス |
Research Abstract |
理化学研究所の行動遺伝学技術開発チームとの共同研究により、グリオトランスミッターの開口放出を誘導する際のカルシウム濃度上昇をモデュレートしたトランスジェニックマウス系統(IP3-sponge Tg)において、このマウスの海馬CA1領域でトリパータイトシナプスの微細構造が変化していることを電顕レベルで見出した。そこで、このような変化がドキシサイクリン(Dox)投与によってカルシウム濃度を人為的に変化させることによってどのような影響を受けるのかについて検討した。母体を通して胎生期以前よりDoxを投与することによってカルシウム濃度上昇を抑制的に作用するIP3-spongeの発現を抑制したマウス群と、Dox投与を行わず、IP3-spongeの発現を抑制しなかったマウス群において、トリパータイトシナプスの微細構造の変化を電顕レベルで解析した。アストロサイトの足突起がシナプスを取り囲む構造であるトリパータイトシナプスの微細構造の評価は、足突起がシナプス前膜および後膜と接するパターンから4つのタイプに分類してそれらの分布比を計測した。その結果、Doxを投与した野生型マウス群とDox投与によりIP3-spongeの発現を抑制したIP3-sponge Tgマウス群では、非投与群の野生型マウス群と同様にトリパータイトシナプスの微細構造に違いは見られなかったが、Dox投与を行わなかったIP3-sponge Tgマウス群では、足突起と接しないタイプのシナプスの形成頻度が有為に増加していた。これらの結果は、グリオトランスミッターの放出を誘導しうるのに必要なカルシウム濃度上昇がトリパータイトシナプスの構造制御に関わっている可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイトのカルシウム濃度の変化がトリパータイトシナプスの構造変化に関わっているという重要な知見が得られた。これはグリオトランスミッターの放出機序の理解につながる基礎となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グリオトランスミッターの放出過程に直接的に関与する機構を遺伝学的に操作したTeTXトランスジェニックマウス系統の解析を進める。
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Research Products
(2 results)