2012 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠・覚醒時の脳活動パターンに依存するシナプス可塑性の研究
Project/Area Number |
22500370
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒谷 亨 東京大学, 総合文化研究科, 研究員 (50195591)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 大脳皮質 / 電流源密度解析 / 皮質内神経回路網 / 睡眠、覚醒 |
Research Abstract |
概要: 今年度は、昨年度後半より新たな研究課題として掲げた、後脳梁膨大部皮質(RSC)の特性を解析するために、脳切片標本を用いたRSC内の回路網解析を行った。 方法: 生後20-35日令のラット大脳より、マイクロスライサーを用いて、厚さ0.3-0.4mmの前額断あるいは水平断切片標本を作製し、人口脳脊髄液中で灌流した。RSCの1a層刺激に伴い誘発される電場電位に電流源密度(CSD)解析法を適用し、視床からの入力が、どのようなシナプス伝達を引き起こすかを解析して、視床入力が処理・統合される時空間パターンを推定した。 結果: CSD解析により、RSC1a層刺激は、まず2-3層の錐体細胞が1層内で形成する樹状突起バンドルに興奮を引き起こし、続いて2-3層から5-6層への興奮性シナプス伝達が生じることが明らかとなった。また海馬からは、主に5層へ興奮性入力があることも判明した。2-3層の小型錐体細胞は、これまでの筆者等の研究により、95%以上が遅延発火型細胞であることが判明している。また、この細胞層への入力信号は、その発火特性により時間遅延を受ける可能性が指摘されている。即ち、RSCにおいては、視床からの感覚入力が様々な時間遅延を受けた後に5層へと中継され、5層の大型錐体細胞によって、海馬からの記憶情報と統合される可能性がある。これは、複数の事象の時間的な順序の記憶・想起に重要な役割を果たすと考えられる。さらに、現在進行中のin vivo記録実験により、RSC内の多数の細胞が睡眠時に特徴的な活動パターンを示し、睡眠・覚醒状態依存的に変化することが判明している。またRSCは、睡眠時の記憶の定着に関与するとの報告があり、この部位での情報処理の一端を解明できたことは、さらなる睡眠時可塑性の研究にも資すると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|