2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞およびiPS細胞の細胞株特性に対するポリコーム遺伝子群の関与
Project/Area Number |
22500425
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
友常 大八郎 信州大学, 医学部, 助教 (80283802)
|
Keywords | ポリコーム遺伝子 / ES細胞 / iPS細胞 / 分化傾向 / 未分化維持 |
Research Abstract |
近年、ES細胞やiPS細胞について多くの細胞株が樹立されてきているが、未分化状態の安定性や分化の傾向性などは、ES細胞とiPS細胞の間だけでなく、細胞株ごとにも違いがあることが分かってきている。そこで本研究では、ES細胞やiPS細胞の細胞株ごとの違いに着目し、未分化維持において中心的な役割を果たしているとされるポリコーム遺伝子群が、いかにその細胞株ごとの違いを生じさせているかを研究する。そして、ポリコーム遺伝子群と細胞特性の間に存在する相関関係について普遍的な法則性を見出し、細胞株ごとの分化の容易さや傾向性を予測するとともに、将来の再生医療において患者の細胞から樹立された複数のiPS細胞株のうち、どの株が治療に適しているかを予想する診断システムを構築するための基礎研究となることを目指す。 平成22年度は、まず、ヒトES細胞の3株(京都株KhES1、KhES2、USA株H1)とヒトiPS細胞の1株について、それらにおける未分化状態の安定性を把握するために、フィーダー細胞(MEF細胞)を除いた培養条件で長期的に培養することによって未分化状態を破綻させた。そして、その様子を形態学的に観察するとともに、Oct4やSox2、Nanogなどの未分化マーカーと十数種類のポリコーム遺伝子の発現をRT-PCR法によって解析した。さらに、これらと平行して、それらの細胞株について未分化状態が破綻する際の細胞の変化をDNAチップによって網羅的に解析し、それらの結果を総合して、ポリコーム遺伝子群と未分化状態が破綻するパターンとの関連性を探り、ポリコーム遺伝子群を中心に細胞株ごとの未分化維持機構の違いについて検討している。
|