2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞およびiPS細胞の細胞株特性に対するポリコーム遺伝子群の関与
Project/Area Number |
22500425
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
友常 大八郎 信州大学, 医学部, 助教 (80283802)
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Keywords | ポリコーム遺伝子 / ES細胞 / iPS細胞 / 分化傾向 / 未分化維持 |
Research Abstract |
ES細胞やips細胞を未分化のまま維持しているものとして、ポリコーム遺伝子群が知られている。ES細胞やips細胞について多くの細胞株が樹立されてきているが、未分化状態の安定性や分化傾向などは、ES細胞とips細胞だけでなく、細胞株ごとに違いがあることが分かってきている。そこで本研究では、ES細胞やips細胞の細胞株ごとの違いに着目し、ポリコーム遺伝子群が、いかにその違いを生じさせているかを解析する。具体的には、ヒトES細胞の3株(京都株KhES1、KhEs2、usA株H1)とヒトiPs細胞の1株について、フィーダー細胞(MEF細胞)を除いた培養条件で長期的に培養することによって未分化状態を破綻させた。平成23年度はDNAチップによるグローバルな発現解析やRT-PCRなどの解析をもとに、多能性幹細胞が不安定化し、分化に向かう際に、核内における転写のレベルで何が起きているかを解析してきた。本研究では特にポリコーム遺伝子群に着目して、どの細胞株でも一定の発現を示すメンバーと細胞株ごとに発現が大きく変動しているメンバーがあることを見出しているが、これらとDNAチップ解析などによって示される標的候補遺伝子の発現変化との対応関係を評価し、未分化状態の安定性や分化傾向に重要な役割を果たしていると予想されるポリコーム遺伝子を絞り込んできた。そして、2~3つのポリコームメンバーに焦点をあて、その抗体を入手してChIP解析を行っている。また、未分化状態が不安定になる際の分化傾向や分化方向について、それらがいかに自身の微小環境(ニッチ)に依存しているかを解析するために、EB(胚様体)様の細胞塊の形成をコントロールできるローテーション法での培養を行い、微小環境と分化の関係を検討した(論文投稿rivise中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
詳細に解析するポリコーム遺伝子とその標的遺伝子の組み合わせの選択がスムーズに出来なかったため、結果としての抗体購入が予定よりも半年程度遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き未分化状態が不安定化する際の状況の把握を行うが、今後はさらに具体的な研究対象での研究を進める。ポリコーム遺伝子とその標的遺伝子の関係において、どのポリコーム遺伝子がどの標的をいつどのように制御するかといった具体的な研究を行う。しかし、想定される具体例は数多く、全てを同時に研究するのはマンパワーの意味でも予算の意味でも不可能なので、進歩が激し当分野の世界的な研究の進展を見極めながら、適切な研究対象を絞る必要がある。
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