2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500554
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Research Institution | Aichi Toho University |
Principal Investigator |
古市 久子 愛知東邦大学, 人間学部, 教授 (10031684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 晶 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (30353006)
松山 由美子 四天王寺大学, 短期大学部・保育科, 講師 (90322619)
江原 千恵 姫路独協大学, 医療保健学部, 准教授 (40399134)
内藤 真希 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (10449580)
田辺 昌吾 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (00512831)
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Keywords | 幼児教育 / 身体教育学 / 保育内容 / 身体表現 / 双方向性 / 教材作成 / 身体表現実態調査 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は幼児の身体表現を豊かに育てるために、コミュニケーションの双方向性を活用した新しい教育方法を提案するものである。今年度の研究内容は保育現場での身体表現教育の実態を、質問紙・観察・インタビューで明らかにすることであった。(1)質問紙調査は名古屋・大阪・福岡の3か所で600人を対象に行い、30%の回収率で回答を得て分析を行った。結果、身体表現指導に関する現状の基礎資料を多方面から得ることができた。抽出された因子は、「自己の成熟と他者との関係」「決まった型のある表現」「生活を通しての表現」の3つであった。(2)観察調査では2歳児とその母親のふれあい遊び6回を通して、身体表現の様子を観察したが、双方向性の効果を明らかに見ることができた。(3)インタビューについては、市の研究指定で身体表現を中心に行った幼稚園に赴き、その様子を聞き取った。以上より、次のような意義を見出した。身体表現は「子どもの心を引き出す」ことにとらわれることなく「子どもの身体による双方向的な対話体験」を生かす方が、より豊かに表現でき、かつ楽しんで続けられるという仮説を裏付ける結果となった。また、同様の結果はインタビューでも確認できた。誰でもいつでもどこでも行える教材開発の検討は今後の研究でさらに必要であるという実感を得た。それに加えて、質問紙調査では、保育に携わる者の考えや悩みが浮き彫りにされた。多種多様の悩みはあるが、特に、年齢や一人ひとりの子どもに応じた身体表現の指導・援助のあり方、子どもの身体表現力を子どもの心に沿って楽しく深められるかについての悩みが見えてきた。この悩みの解決と、子どもの豊かな表現をつなぐ鍵として、双方向性を活用した教材の検討とその有効性を、保育の集団生活の中で実証したい。
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