2010 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境での持久的運動を用いた体脂肪燃焼促進に関する研究
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22500604
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉田 正明 三重大学, 教育学部, 准教授 (60235885)
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Keywords | 低酸素 / ウォーキング / 脂肪消費量 / 遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
本研究では、低酸素環境下でのウォーキング運動が体脂肪燃焼に及ぼす影響を明らかにしようとした。 実験の内容は以下の通りであった。健常な成人男性7名(年齢22.0±0.6歳、身長172.1±6.0cm、体重66.5±8.4kg(平均値±標準偏差))を対象とし、常酸素環境下及び低酸素環境下(酸素濃度15.4%、標高2500m相当)において、30%VO2maxに相当する速度(6.4±0.39km/h)で40分間ウォーキングを行わせた。その際の呼気ガス分析、心拍数、RPE及びSpO2を測定し、運動前と後に採血を行った。その結果、以下の知見が得られた。心拍数については、ウォーキング中の心拍数は低酸素環境下(101.1±11.3拍/分)の方が常酸素環境下と比較して、有意(p<0.001)に9.2拍/分高く、酸素飽和度(SpO2)は、低酸素環境下(89.3±2.4%)の方が常酸素環境下と比較して、有意(p<0.001)に7.6%低かった。しかし、ウォーキング中の二酸化炭素排出量、呼吸交換比、糖消費量、脂肪消費量及び主観的運動強度(RPE)については、両群間に有意な差は認められなかった。 ウォーキング後の脂肪消費量の総量の平均値は、常酸素環境下と低酸素環境下でそれぞれ1.58gと2.08gであり、低酸素環境下の方が0.5g高い傾向を示したが、有意な差は認められなかった。対象者7名中6名が低酸素環境下の方が運動後の脂肪消費量の総量が高い値を示した。運動中とその後の安静時の脂肪消費量の総量の平均値(4.02±0.92g)は、低酸素環境下の方が有意(p<0.05)に0.79g高かった。遊離脂肪酸については、安静時に対する倍率の平均値において運動直後、運動終了60分後で低酸素環境下(順に3.65±3.56倍、3.22±2.47倍)の方が高い傾向を示したが、運動終了120分後には両群に有意な差は認められなかった。以上の結果より、低酸素環境下における30%VO2maxの速度での40分ウォーキングを行うことは、心拍数の増加や酸素飽和度(SpO2)の低下をもたらし、脂質代謝をわずかに亢進させる可能性のあることが示唆された。
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