2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500740
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
宮岡 洋三 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (10134941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20158158)
蘆田 一郎 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (10323958)
山崎 貴子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60318574)
岩森 大 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (90339961)
玉木 有子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (00410267)
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Keywords | 食品識別 / 咬筋 / 筋電図 / パタン解析 / 呈味成分 / 化学分析 / テクスチャ |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、種々の味を示す食品を対象に、咀嚼時の咬筋活動が示す各種パラメータの食品識別能を調べる点にある。今年度の実験では、サイズやテクスチャが比較的揃った「グミ・キャンディ」を被検食品として用いた。報告者らが開発したTp手法を適用したデータ解析の結果、咀嚼時の咬筋活動パタンは食品中の糖質によって変化するとの結論を得た。以下に、その概要を述べる。 被検食品は、「リンゴ、ブドウ、オレンジ、洋ナシ」の果実風味が添加された市販グミ・キャンディとした。10名の健康な若年成人男女を対象に、通法にしたがって咬筋の表面筋電図活動等を記録した。4種のグミ・キャンディをランダムな順序で被験者に提示し、各自のペースで咀嚼させた。各咀嚼周期に出現する咬筋バーストのTp値(活動パタンの変量)をはじめ、積分筋活動量や活動期間など諸変量の解析をおこなった。なお、算出されるT_<25>・T_<50>・T_<75>値は、それぞれ咬筋活動の初期・中期・後期パタンを反映する。統計的解析には、通常の分散分析と併せてクラスター解析も適用した。 化学分析により、グミ・キャンディから6種の糖質と4種の有機酸が検出された。検出された成分から、主たる糖質のショ糖と麦芽糖ならびに主たる有機酸のクエン酸とリンゴ酸のみを取り上げた。グミ・キャンディ咀嚼時の咬筋Tp値は、概ね4つの下位クラスターに分類された。2種の糖質と2種の有機酸が下位クラスター内のTp値に与えた影響を調べた結果、糖質における第1と第4下位クラスター内のT_<75>値間に有意差が認められた。有機酸ならびにテクスチャ分析から得られた硬さなど4種の特性値は、いずれのTp値間にも有意差が見られなかった。 以上の結果は、グミ・キャンディ中の糖質(ショ糖と麦芽糖)が咀嚼時咬筋の後期活動パタンに影響することを示唆する。また、観察された咬筋活動パタンの影響は、糖質の誘発した味覚-甘味-が一因となることも示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
味覚を軸とする食品風味の咬筋活動パタンに対する影響について調べたところ、「研究実績の概要」に示す知見が得られたために達成度を「(2)」とした。但し、対象とした食品がグミ・キャンディーに限定されており、得られた知見がはたして一般化できるか否かは今後の課題である(「今後の研究の推進方策」を参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、本年度の知見は異なる味をもつグミ・キャンディのみから得られたため、多種多様な食品についても適応できるのか否かを検討するのが今後の課題となる。また、本年度の研究では、呈味成分として糖と有機酸に着目したが、今後は食塩やうま味成分の分析も検討したい。可能な限り種々の味をもつ食品を使用したいものの、テクスチャ測定の制約には留意を要する。先行した科学研究費による研究では、食品のテクスチャが大きく異なる場合には、同一プランジャーによる特性値の測定ができなくなり、結果的にテクスチャ特性値が一部食品間で比較不能となった。現行の科学研究費に基づく研究はあくまでも風味(特に味)がテーマではあるものの、そのデータ解析においては食品のサイズやテクスチャ特性値も含める必要があり、食品の選定には特段の注意を要する。
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