2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500874
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
若林 文高 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 研究主幹 (30158589)
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Keywords | 分光学 / 簡易分光器 / 科学教育 / 教材開発 |
Research Abstract |
昨年度に検討を始めたWEBカメラを利用したDVD分光器のスペクトル画像撮影法についてさらに検討した。その結果、安価なWEBカメラを用いても高品質のスペクトル画像が得られることが実証され、かつWEBカメラの特性を活かして動画モードでスペクトルを連続的に撮影することにより、効率よく迅速に高品質のスペクトル画像を蓄積できることを示した。特に最近のWEBカメラは安価なものでも撮影条件を細かく設定でき、オートフォーカスモードを備えるなど、スペクトル画像撮影に適していることがわかった。また、WEBカメラを使用することにより、演示実験などで効果的にスペクトル画像をスクリーンに投影することができることを示し、"教育機器"としての能力を示した。 発光スペクトルのデータ蓄積に関しては、水素、ヘリウム、クリプトン、キセノンなどの基本的な気体放電管のスペクトルを本システムで測定し、通常の表計算ソフトを使ってスペクトルチャートとした。ごく簡単なシステムであるにもかかわらず、発光強度の弱い輝線も再現性良く測定されることがわかり、DVD分光器の"測定器"としての能力を示すことができた。また、最近のLED照明、有機EL素子を使った携帯電話気の画面の発光スペクトルを測定し、発光体や蛍光体の違いによるスペクトルの相違など興味深い結果を得ている。 吸収スペクトルについては、これまでのバック光源として白色蛍光灯を利用した方法に替えて、白色LEDスライドビューアーを用いた方法を検討し、LEDによる光がほぼ連続スペクトルであることから、水銀の輝線がある蛍光灯を用いた方法より優れていることがわかった。ただし、この方法はカメラの固定、スライドビューアーの利用箇所を一定にするなど留意すべき事項がある。現在、検量線などの検討を行い、より信頼できる吸収スペクトルの測定をめざしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸収スペクトルの検量線の検討が現在進行中であることを除いて、交付申請書に記載した目的をほぼ達成している。全体として、安価な自作DVD分光器システムの教材・"教育機器"としての有効性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、新規検討課題に取り組むとともに、最終年度として、教育プログラム、教材として一般に広く利用できるような形、例えばホームページの作成に取り組み必要がある。これまでに、測定したスペクトル画像、それを元にしたスペクトルチャートをまとめ、小中高などそれぞれのレベルに即した内容としていく予定である。
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