2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模「扇状地」と沖積扇状地の区分-河成扇状地の国際的再確認に向けて-
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22500984
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斉藤 享治 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60170495)
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Keywords | 沖積扇状地 / 巨大扇状地 / 河成扇状地 / 集水域面積 / 扇面面積 / ヘネラルバレー / サンワキンバレー |
Research Abstract |
全体的な目標は,「湿潤地域の河成扇状地も沖積扇状地である」ことを国際的に再認識させることである。その際,問題になるのが,河成扇状地とともに沖積扇状地ではないとされた,大規模「扇状地』(巨大扇状地)が沖積扇状地であるかどうかである。大規模「扇状地」と沖積扇状地とは,集水域面積と扇面面積の関係式によってほぼ区分できる状況になった。ただし,コスタリカのヘネラルバレーとアメリカ合衆国のサンワキンバレーに発達する扇状地群は,巨大扇状地と同様に,相対的に扇面面積が大きくなっている。その理由を明らかにすることが本研究の目的である。 昨年度は,コスタリカの5万分の1地形図を購入し,扇状地の認定および集水域面積・扇面面積の計測をした。その結果,Kesel(1985)により得られていた集水域面積と扇面面積の関係式は,正しくないことが判明した。今年度は,ヘネラルバレーでの現地調査により,そのことを確認した。さらに,修正されたヘネラルバレーおよびコスタリカ全体の集水域面積と扇面面積の関係式は,他の多くの地域で得られた関係式と同様の傾向を示すことを明らかにした。これらのことから,ヘネラルバレーの関係式からは,巨大扇状地が沖積扇状地の一員であることは指摘できないことも明らかにした。これらの内容を国際的に再認識させるため,10月に中国において開催された地形学関係の学会で発表し,また埼玉大学教育学部地理学研究報告で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コスタリカのヘネラルバレーとアメリカ合衆国のサンワキンバレーに発達する扇状地群が,相対的に扇面面積が大きくなっている理由を明らかにすることが本研究の目的である。そのうちヘネラルバレーについては,Kesel(1985)により得られた関係式が正しくないことや他の地域の関係式と同様であることを明らかにした。残りはサンワキンバレーだけになったので、現在まで本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
残った課題は,サンワキンバレーの扇状地群が相対的に扇面面積が大きくなっている理由を明らかにすることである。Bull(1964)により得られたサンワキンバレーの集水域面積と扇面面積の関係式が正しいのかどうか,地形図で確認し,正しいとすれば,現地調査などにより,その理由を求めることで,本研究の目的を達成することになる。
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Research Products
(3 results)