2011 Fiscal Year Annual Research Report
cDNA発現クローニング法を用いたRasの制御因子の探索
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22501010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北山 仁志 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30231286)
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Keywords | がん制御遺伝子 |
Research Abstract |
1)NIH3T3細胞由来で、がん遺伝子Rasによりトランスフォームした細胞株DTに、カルシウムーリン酸共沈法を用いて、本研究で作製されたphagemid型のcDNA発現ライブラリーをトランスフェクション後、接着性の強い細胞を選別し、その細胞のコロニーの形態を顕微鏡で観察することにより、形態が正常細胞に近くなった"リバータント"を同定・単離した。一連の実験により700個以上のリバータントを得、そのうちの約半数を用いてゲノムDNAよりトランスフェクトしたcDNAを含むプラスミド部分の回収を進めた後に、再びDT細胞にトランスフェクトすることにより、リバータント誘導活性を再現できるプラスミドを約80個回収した。2を)cDNA部分の5'側のDNA配列を決定した後に、ホモロジーサーチにより遺伝子名を知るとともに、完全長のcDNAでありそうかという情報を得た。これらの結果から得られた遺伝子はさまざまな機能に分類された。また、得られた遺伝子の中には、DNA配列は知られているものの文献上あまり解析されていない遺伝子も含まれていた。3)得られた遺伝子を過剰発現することにより、Rasのシグナル伝達経路上にあるMAPキナーゼやAktキナーゼのリン酸化にどのような影響を与えるか検討を進めた。また、得られた遺伝子の中から数個の遺伝子を選び、N末側あるいはC末側にMycタグを付け、細胞のどこに存在するか検討した。これらの中には構造や類似遺伝子の機能から予測される場所とは異なるものも含まれていた。得られた遺伝子の機能を知るために、イーストTwo-hybridスクリーニングを行い、結合タンパク質の候補の探索を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第1の目的であるphagemid型のcDNA発現ベクターの開発とcDNA発現ライブラリーの作製についてはすでに成功している。現在、それを用いて、Rasタンパク質の活性を制御する新たな遺伝子を同定する段階にあり、複数の候補遺伝子が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Rasの活性を制御する候補遺伝子の機能をより明らかにするために、過剰発現やノックダウンを適宜活用し、細胞の増殖や形態、シグナル伝達経路への影響、結合タンパク質の同定などをさらに進め、Rasに対する作用機序や機能を明らかにし、論文として発表できるように進めていく予定である。
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