2010 Fiscal Year Annual Research Report
CD4陽性ヘルパーT細胞への細胞傷害活性付与による抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
22501024
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
江島 耕二 北里大学, 医学部, 講師 (30327324)
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Keywords | 癌 / 細胞療法 / 遺伝子導入 / 転写因子 / Eomesodermin / 細胞傷害活性 |
Research Abstract |
本研究は,細胞傷害活性を持たないCD4陽性T細胞に遺伝子導入により細胞傷害活性を付与する方法を開発し,クラスIIMHC結合性の腫瘍抗原ペプチドをターゲットとした新たな細胞療法の確立することを最終目的としている。今年度までに行った研究により以下のことが明らかとなった。 1).CD8陽性細胞傷害性T細胞やNK細胞の細胞傷害機能を制御すると考えられているT-boxファミリーの転写因子Eomesoderminの遺伝子を,細胞傷害活性を持たないマウスヘルパーT細胞ハイブリドーマに導入することにより,FasL-Fas経路を介した細胞傷害活性を誘導することができた。PerforinやGranzymeBの発現は見られなかったが,細胞傷害性細胞に特有のケモカインやプロテアーゼなどいくつかの遺伝子の発現がEomes導入により誘導されることがマイクロアレイ解析により明らかになった。 2).Eomesoderminを正常な(腫瘍化していない)マウスTh2細胞株に導入したところ,この場合はPerforinの発現誘導も見られ,FasL非依存性の細胞傷害活性が観察された。Perforin経路を特異的に阻害するConcanamycin Aを用いて細胞傷害経路の検討を行ったところ,Eomes導入株による細胞傷害はFasLも関与していることが明らかとなった。 以上の結果より,クラスII MHCに提示された腫瘍抗原ペプチド特異的なCD4陽性ヘルパーT細胞に対して,Eomesodermin遺伝子を単独導入することによってCD8陽性細胞型の細胞傷害性細胞に変化させられることが示唆された。また,Eomesoderminの機能に関して,この転写因子がPerforinやGranzymeBの遺伝子発現だけでなく,FasL-Fas経路の活性化にも関与していることも示唆された。
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Research Products
(2 results)