2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌/腹膜癌の新規TC療法効果予測因子のゲノム薬理学的解析と新規分子標的の探索
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22501033
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
江口 英孝 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00260232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 正彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20198526)
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜癌 / パクリタキセル / 薬物動態学的解析 / 遺伝子多型 / バイオマーカー / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1)埼玉医科大学、鳥取大学、岩手医科大学、自治医科大学の4施設により、今年度末までに合計で77症例が本登録となり、当初の目標症例数80をほぼ達成することが出来た。腫瘍/正常組織ならびに末梢血を匿名化番号の付与した容器内にて、埼玉医科大学国際医療センター教員研究棟にある超低温槽で保管している。 2)薬物動態学的解析のため、パクリタキセル投与終了後0,2,8,24時間後のPK採血を行った。順次、パクリタキセル血中濃度の測定を進めている。 3)正常組織/腫瘍組織からtotal RNAを抽出し、Bioanalyzerで泳動後RNAが一定の品質を満たしたものについて、順次オリゴマイクロアレイ解析を進めた。 4)2011年6月までにパクリタキセルの測定値が得られた47症例について、遺伝子多型の決定をし、中間解析を行った。単変量解析においてGSTM1が欠損多型の場合、GSTM1を有している患者に比べ、AUCが有意に高値を示した(p=0.033)。さらに、GSTM1の有無で層別化を行い解析を進めたところ、GSTM1野生型の時、i)ABCB12677G>T/A多型でAアリルを有する患者は有意にMRTが高値を示し(p=0.045)、ii)CYP2C8,CYP3A4,CYP3A5の多型を組み合わせた遺伝子型を有する患者とそれ以外の患者を比較し、AUCとCLで有意な差があることを見いだした(p=0.019,P-0.003)。またGSTM1欠損型の患者で、ABCB1とABCC2の多型を組み合わせた遺伝子型で比較したところ、AUCとC_<max>、で有意な差が認められたが(p=0.036,p=0.0031)、GSTM1野生型ではこのような関係は見いだされなかった。以上のことからパクリタキセルの血中動態において、GSTM1の有無が重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録数が、ほぼ今年度末までに達成することが出来ており、中間解析での結果新たな知見が得られた。 今後、臨床情報の追跡・収集を進め、最終年度内に予定されている解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床情報の追跡結果の収集、ならびにデータクリーニングを行い、治療効果や副作用出現と関連するバイオマーカーの探索、さらにそれらを用いたより精緻な効果予測を目指す。 また、網羅的遺伝子発現とバイオインフォマティクスを駆使し、新たな治療標的の探索を推し進める。
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