2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機質土を利用した海成層中重金属類の低コスト・低負荷型不溶化技術の開発
Project/Area Number |
22510095
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
石山 高 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 専門研究員 (80297621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八戸 昭一 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 専門研究員 (70415397)
河村 清史 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90109017)
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Keywords | 土壌汚染 / 対策技術 / 重金属類 / 不溶化 / 有機質土 |
Research Abstract |
昨年度の研究結果から、海成堆積物中重金属類の溶出は土壌pHに大きく依存し、土壌pHを中性付近に調整すれば多くの重金属類の溶出が抑制できることが明らかとなった。そこで今年度は、酸性土壌へと変化した海成土壌に塩基性材料を加えて有害重金属類の溶出を抑制する手法について検討した。 塩基性材料としては、安価で入手が容易な消石灰(Ca(OH)2)を選定した。海成土壌2gに対し、消石灰約0.05gを添加したところ、土壌pHは3.8から7.5へと増加した。消石灰の添加により、鉛、カドミウム、砒素、フッ素、クロムなどの溶出濃度は1/10以下に低減した。中性付近では、土壌粒子は負に帯電している。これに対し、土壌に含まれている鉄酸化物は正に帯電している。陽イオンである鉛やカドミウムは、負に帯電している土壌粒子表面に、陰イオンである砒素やフッ素は、正に帯電している鉄酸化物表面に吸着することにより、溶出濃度が低減したものと考えられる。土壌pHを中性付近に調整する方法では、セレンとホウ素の溶出を抑制することはできなかった。セレンとホウ素については、土壌pHを10~11に調整することにより、溶出濃度が大きく低減できることが分かった。 土壌pHは、降雨などの自然現象により変化する可能性が考えられる。そこで、消石灰でpH調整した海成土壌を用いて溶出量試験を連続的に実施し、土壌溶出液のpH変化の様子を調べることにした。その結果、少なくとも20回までの連続試験において、土壌溶出液のpH変化は認められなかった。今年度の研究から、土壌pHを制御するだけでも、有害重金属類の溶出をある程度抑制できる見通しが得られた。最終年度は、有機質土壌を用いた重金属類の不溶化実験を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目までに、海成土壌からの重金属類溶出特性を解析するとともに、この解析結果から土壌pHを制御することにより重金属類の溶出が大きく抑制できることを明らかにした。土壌pHを制御する溶出抑制手法について、簡単な安定性試験をラボレベルで実施した。ここまでは、概ね実験計画に基づいて進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、土壌pHを制御しながら、有機質土壌などの天然素材を活用した低コスト・低負荷型不溶化技術について検討する。土壌pHは降雨などの自然現象により変化する可能性が考えられるため、多少の酸やアルカリと接触しても、不溶化効率が低下しないような方法について検討する。
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