2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510123
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉川 祐子 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (80291871)
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Keywords | 単一分子観察 / 蛍光顕微鏡 / 長鎖DNA / DNAの高次構造 / DNA損傷 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
本研究では、100キロ塩基対を越えるDNAを対象として、1分子レベルでDNAの高次構造変化を計測することを中核的な方法論としている。各種抗がん剤や環境変異原物質等の環境ストレスによって引き起こされるDNAの高次構造変化を計測し、その結果を、二次構造変化とも対比させて解析を進める。さらに、各種放射線など、様々な環境因子によって引き起こされるDNA損傷の中でも最も重篤であると考えられる二重鎖切断反応の効率を、その高次構造との関連で定量的に解析することも、重要な課題として位置づけている。 平成23年度は、以下の成果が得られた。 1.in vivoで高抗がん活性を有する新規テトラゾラト架橋白金(II)二核錯体を長鎖DNAに作用させると、不可逆的、かつ特徴的なDNA凝縮を誘起することが明らかとなった。さらにCDスペルトル解析から、二次構造変化(B型→C型)も引き起こされることが明らかとなった。これらの高次構造変化の特性を、生体ポリアミンによる作用と比較した。 2.既に生体ポリアミンであるスペルミジンによって高度に凝縮したDNAでは、放射線による二重鎖切断が著しく抑制されていることを明らかにしているが、平成23年度は、メガ塩基対サイズのDNAを南極由来微生物から抽出し、スペルミジンを作用させたときのDNAの折り畳み転移特性を実験・理論両面から考察した。本結果を、これまで明らかにしてきた100キロ塩基対サイズのDNAでの折り畳み転移と比較したところ、DNAのサイズが大きくなる程、ポリアミンに対する感受性が高くなることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、本研究課題の重要な柱であるである「各種抗がん剤や環境変異原物質等の環境ストレスによて引き起こされる長鎖DNAの高次構造変化」について新たな知見を得て、研究を一歩前進させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き、上記課題を遂行すると共に、現在、重粒子線によるDNA損傷についても、研究を進めているため、成果に結び付けたいと思っている。
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Research Products
(5 results)