2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェイルセーフ設計を用いた高齢者の日常生活モニタリングシステム
Project/Area Number |
22510185
|
Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
加藤 麻樹 長野県短期大学, 生活科学科, 准教授 (00312166)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下平 佳江 長野県短期大学, 生活科学科, 助手 (80261098)
|
Keywords | 安全情報 / 高齢者 / モニタリング / フェイルセーフ / 生活リズム / ADL |
Research Abstract |
本研究におけるモニタリングの対象となる高齢者家庭の抽出を行い,住居における日常的な建具の利用状況についての訪問調査を実施した.主たる対象は長野市および須坂市在住の高齢者であり,それぞれ1か月にわたる建具のモニタリングを実施し,正常状態を示す定量データの収集を行った.センサー(共和電業AS-5GA)および増幅器(共和電業EDX-100A)を設置した場所は,玄関,トイレ,浴室,洗面台,冷蔵庫,ベランダの扉である.また測定とは別に対象者に対するインタビューを行い,それぞれ生活様式が異なるタイプであることがわかった.すなわち一人は外出が多い活発な被験者であり,もう一人は運動等の活動が少ない被験者であった.計測の結果,設置箇所により振動特性が異なることがわかり,特に一定のリズムを保つことが多いものとしてトイレ,玄関が挙げられる.また冷蔵庫の開閉も頻度が高く,これらの利用状況の評価によって高齢者が活動中であることを示すことが可能となった.さらに個人特性を大きく反映した定量データが示されたことから,行動特性の定量化に測定結果を利用することができることが分かった. 当該年度の研究により,プライバシーを侵害することなく,遠隔地の家族に対して高齢者の活動状況を把握することが可能になると考えられる.特に従来的な異常発見の設計思想によらず,安全工学上のフェイルセーフ設計の概念を取り入れ,日常生活上の行動の観察を通じた正常状態の定量化によって異常が検出される設計構造の可能性が示された点で大変意義深い.また,独居高齢者の増加傾向は本研究開始以降継続的なものとなっており,導入需要が高い点において重要性が高いと考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者が居住する建具の使用状況をリズムとして定量化することが可能であるとわかったことが,正常状態の検出が途切れることによる異常発見というフェイルセーフ概念の具体化に必要であり,年度中に得られた長期間の記録がこれを可能せしめたことから,おおむね順調と判断するに至った.
|
Strategy for Future Research Activity |
建具の利用状況を示す加速度変化を遠隔地からプライバシーを侵害することなく観察するためのネットワーク構築と実施により,本研究で示した高齢者のモニタリングシステムの効果について定性的評価を行う.特に被験者となる高齢者にかかわる家族のユーザビリティについても評価を行うことで,モニタリングに係る負担の低減を盛り込んだ研究の集約を行う.ただ本研究が居住者のインターネット利用を前提としている点にあるため,環境に依存する傾向が高い.前々年度の研究成果である利用のためのモチベーション強化についても併せてシステム導入の要件として結果にまとめる計画である.なお,前年度の成果についてはIADIS ICHI 2012(Lisbon)にて論文として発表をする予定である.
|
Research Products
(1 results)