2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパーピクナル流堆積物の認定による琵琶湖地域の大規模洪水周期の解明
Project/Area Number |
22510201
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
里口 保文 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (20344343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 美郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00294786)
橋本 道範 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (10344342)
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Keywords | 洪水記録 / 琵琶湖堆積物 / 底泥採取 / 中世水害 |
Research Abstract |
本研究は、過去の大規模洪水の周期性を探る基礎的研究として、琵琶湖湖底堆積物からおおむね3000年間の大規模洪水による堆積物の認定とその年代により、過去の大規模洪水を明らかにすることを目的としている。 当該年度は、野洲川河口沖を対象地域として、河口沖合の堆積物の状況をみるため、水深20m-40mの地点において表層部10-20cm厚の堆積物を重力式コアラーによって採取し、層相記載、含水率、帯磁率などの分析を行った。また、その結果をうけて深さ50-70cmの堆積物および深さ150cmの堆積物を採取し、層相記載、含水率、帯磁率などの分析を行った。これらの結果は、琵琶湖湖底は湖岸から数Km離れた沖合でも砂質堆積物を運搬する堆積機構があり、それを供給する洪水などの流れが頻繁に起こっていることがわかる。本研究の目的である大規模洪水については、明治期におこった洪水と思われる堆積物が認められたが、大規模洪水の履歴である地層はそれほど多くない。この原因の一つとして、地層の削剥がある。炭素14法によって得られた年代は通常の堆積速度ではあり得ない古い年代値が検出された。また、歴史時代にはこの地域に降った履歴がない火山灰層の存在などからも、地層の削剥があったことを示唆する結果が得られた。このことは、湖底斜面が緩やかな湖東地域の湖岸で、河口から離れた地域である沖合では底堆積物を削剥するほどの営力はないと予想される地点においても、削剥がおこることを示しており、その現象としてタービダイトを起こす動きを推測している。 過去の歴史史料から滋賀県下、とくに湖西地域および湖東地域におこった中世以降の洪水記録と考えられるもののリスト化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、調査対象地点では削剥されている地磨があり、歴史時代の地層についてのすべてを残しているわけではないことが分かった。このため、当初予定していた作業としては順調ではあるが、実績評価としてはやや遅れているとするのが妥当と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
船上から湖底堆積物を採取できるコアラーは水深30m付近までなので、現在の地点は採取する地点としては問題があったといえる。そのため、現在掘削対象としている地域の見直しを行っている。また、沖合において洪水堆積物がどのように分布するかの堆積学的な基礎的研究も同時並行的に行う。
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