2011 Fiscal Year Annual Research Report
藍色細菌における必須重金属イオンの細胞内濃度制御機構解明と環境改善への応用
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22510234
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森田 勇人 愛媛大学, 農学部, 准教授 (50274303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀則 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (60124682)
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Keywords | 藍色細菌 / SmtB / 重金属イオンセンシング / ゲルNMR / ゲルシフトアッセイ |
Research Abstract |
平成23年度は、まず、平成22年度に行ったSmtBの構造機能相関解析の成果に基づき、ゲルシフト等による物理化学的解析を行い、以下の事を明らかにした。 1)SmtBファミリーと認識塩基配列を含むオペレーター/プロモーター領域との複合体形成において、構成される複合体のサイズの種類は、SmtBファミリーのDNA結合ヘリックスのアミノ酸配列だけでなく、オペレーター/プロモーター領域の塩基配列が重要であることを明らかにした。なお、この解析結果を得る過程で、認識塩基配列に対するSmtBファミリーの結合親和性を制御するアミノ酸残基を特定した。 2)亜鉛イオンによるSmtBファミリーと認識塩基配列との複合体形成阻害効果の大きさは、SmtBファミリーの亜鉛イオン結合部位の構造により決定されることを明らかにした。なお、この解析結果を得る過程で、亜鉛イオンの配位子となるアミノ酸残基を特定すると共に、亜鉛イオンとの結合に伴う構造変化の情報を、DNA結ヘリックスを含む領域へ伝達する役割を果たすアミノ酸残基も特定するとともに、分子内情報伝達機構を推定した。 これらの研究成果をもとに、当初計画の平成23年度分(3.変異導入SmtBの作製と重金属親和性ならびにDNA結合活性の評価)を実施するために、異なるSmtBファミリー由来のアミド末端領域とそれに続くコア領域とを組み合わせることで亜鉛イオン濃度の検出感度や亜鉛イオシ以外の金属イオン検知能を調節したキメラSmtBの大量発現系を作製した。現在ゲルシフト法やNMRタイトレーション法などにより、キメラSmtBの亜鉛イオンを初めとする重金属イオンとの結合親和性やDNA結合親和性の定量的解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度までの成果をもとに推定したSmtBの金属結合能ならびにDNA結合能に重要なアミノ酸残基に変異を導入した複数の点変異SmtBの作製ならびにそれらの物理化学的特性評価を行うことで、藍色細菌の重金属耐性能を調節するためのSmtBの構造要因とSmtBにより発現調節を受ける遺伝子オペレータ/プロモータ領域の構造要因とを明確するにことに成功した。これにより、平成24年度に計画している、重金属ストレス耐性能を調節した藍色細菌の設計を行うことが可能となり、申請計画通りの研究遂行の目処がついたことから、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までの研究をほぼ当初計画通りに遂行できたことをふまえ、平成24年度は本申請計画最終年度として、変位導入SmtBを発現する藍色細菌Synechococcus sp.PCC 7942の作製とその重金属ストレス耐性の解析を当初計画に沿って実施するとともに、これまでの研究成果をまとめた論文等の発表とホームページにおける学授的成果と社会的貢献に関する情報発信を積極的に行う。
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