2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510293
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 聖子 福岡女子大学, 文学部, 准教授 (70401601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 信 福岡女子大学, 文学部, 准教授 (60314457)
松沼 美穂 群馬大学, 教育学部, 准教授 (40438304)
上杉 妙子 専修大学, 文学部, 兼任講師 (90260116)
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Keywords | 法制 / 慣習 / 家族 / 植民地 / 軍隊 / 混血 / 境界 / 通婚 |
Research Abstract |
本研究は、婚姻や家族をめぐる法や慣習、政策が、植民地経営あるいは被植民者にとって重要な問題であったことに着目したもので、共同研究者の4名はそれぞれの地域で以下のように研究を進めた。宮崎は植民地期台湾の家族をめぐる法制度の先行研究について確認した。日本が台湾において新たな法律を制定する際、自身の明治維新の経験-東アジア的伝統を残しつつ西洋化を取り入れる-を台湾に適用した。これにより土地関連の法制や商法などに関しては、台湾人の生活に大きな変化をもたらしたが、対照的に親族財産相続や婚姻への影響は限定的であった。吉田は、植民地期インドネシアについて、法律による人的カテゴリーの背景となる社会の実相を把握するため、当該期の社会史について研究を進めた。植民地期インドネシアの社会史をテーマとする研究会への出席を通じて、バタヴィアの社会状況について情報を収集し、また植民地期の住民集団の中でも注目される華人の法的カテゴリーに関する研究書を入手した。松沼はフランスにおいて、国際植民地学会(本部ブリュッセル)に関する先行研究と、同学会の年次大会記録における「混血」をめぐる議論を調査した。植民地における「混血児」の取り扱いが年次大会で主要な議題とされたのは1911年と1920年代初頭であったが、この間に主要な関心対象が身体的・生物学的特徴から、植民地における混血児の社会・経済的位置、政治的活動、法律的地位に移動した。上杉は、旧英領インド陸軍及び英国陸軍(1947年以降)に雇用されていたネパール人兵士(グルカ兵)の通婚規制について考究した。旧英領インド陸軍は、質の高い兵士を獲得するため、特にグルカ兵の採用に関しては、純粋なグルカであることを重視し、民族・カースト間の通婚を過去に繰り返していたと見なされる家系の子どもを排除した。グルカ兵たちも、息子の結婚については、自主規制により民族・カースト内婚を行った。第二次世界大戦後、彼らが南アジアを離れ勤務するようになると、国際結婚を自主的に規制した。
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Research Products
(15 results)