2012 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション論とコーチング理論の複合による高校・大学での倫理学授業の再構築
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22520008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十嵐 沙千子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10365992)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 対話型授業 / コミュニケーション / ハーバーマス / ハイデガー / 哲学カフェ / 双方向的授業 / 倫理学 / 高等教育 |
Research Abstract |
本研究は、高等学校及び大学での、完全に双方向的なコミュニケーションによる倫理学の授業の構築を目指すものである。 その際、本研究が依拠したのは、(1)コーチング理論、および(2)ユルゲン・ハーバーマスのコミュニケーション論、の二つの理論である。 研究の方法としては、実際に(1)(2)に関する理論的研究を進めながら、同時に筑波大学教育研究科社会科コースに所属する大学院生ならびに複数の高等学校教諭に協力していただいて、授業案を作り授業実践を通して理論を検証していくというスタイルを取った。 こうした研究を通して明らかになったのは、授業を「完全に双方向的」な、すなわち「真にコミュニケーション的」なものにするためには、「授業」という形式それ自体を批判的に再構築する必要があるということである。言い換えれば、「授業」という既存の「形式」(「授業」という言語ゲーム)を崩さないままでその形式の<内部>でいかに双方向的な対話型授業を構築しようとしても、その形式それ自体と「コミュニケーション」という形とが相互に摩擦を生じ、結果として授業をコミュニケーション的なものにすることを阻止するのである。従来の「対話型授業」研究の多くが生産性のあるものになっていないのは、まさにこの点を棚上げにしているからに他ならない。 こうした反省的視点を本研究はハーバーマスのコミュニケーション理論によって定立し、さらに、マルティン・ハイデガーの「空間」論を参照することを通して「授業」という言語ゲームを脱構築することを試みた。これらを通して、授業空間をコミュニケーション的空間として再構成するという実践研究として、「哲学カフェ」形式での授業を構想し、この形式での授業を研究期間内に数多く実践しつつ、授業理論としての構築を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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