2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト災害社会における宗教の役割に関する宗教学的研究
Project/Area Number |
22520059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 敏明 東北大学, 文学研究科, 准教授 (80322923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 岩弓 東北大学, 文学研究科, 教授 (50154521)
山田 仁史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90422071)
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Keywords | 自然災害 / 宗教 / 復興 / インドネシア / 集団埋葬 |
Research Abstract |
平成22年度の末に発生した東日本大震災によって、本研究は大きな影響を受けることとなった。何よりも震災後の社会における宗教の役割をテーマとした本プロジェクトとしては、目の前で進行しつつある被災地救援の動きに対して無関心を装うことはありえなかった。そこでインドネシアの研究は計画通りにすすめつつ、そこでこれまでに積み上げてきた成果や方法を、震災後の日本にも応用的に適用する作業をすすめた。具体的には、被災者に対する聞き取り調査の経験をもとに震災体験記憶の記録をめざした「東北大学震災体験記録プロジェクト」を立ち上げ、成果を書籍の形で発表した他、超宗教の心のケアグループ「心の相談室」や、宮城県震災無形文化財調査プロジェクトなどに本研究での知見を活かすことができた。 ニアス島では夏季に調査をおこなった。その主な成果としては、第一にカトリック系NGOカリタス・インドネシアへの聞き取り調査を通して、震災後の時間経過に伴って、被災地の様々なフェイズに応じた支援を息長く行っている様子を確認することができた。第二に、身元不明者の集団埋葬墓に関する調査を通して、この問題が諸宗教の壁を越えた協力体制の構築を要請し、この枠組みがその後のニアスにおける諸宗教協調の枠組みとなっていった様子を明らかにすることができた。また第三に、ニアスの原住民は高地に家を作ることを好み、海側の低地は中国系住民やパダン人など、新来者に貸していることが多く、地震や津波の被害者には圧倒的にこれらの外来者が多かったということがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響はあったが、代表者・分担者の努力で十分にカバーできた。国内の資料調査、海外での調査も順調に進んでいて特に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り進めていくが、とりわけ社会への発振という面では、日本の震災後の状況を念頭におくことに留意する。
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