2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520082
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
李 彩華 名古屋経済大学, 経営学部, 准教授 (10310583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 博 長崎総合科学大学, 人間環境学部, 教授 (20341555)
岩崎 正弥 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (40221791)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 梁漱溟 / 江渡狄嶺 / 戦前期「農の思想」 / 地域協同・共生 / 循環の回復 / サスティナビリティ / 農の哲学 / 宗教 |
Research Abstract |
昨年度は、1930年代に梁漱溟が自らの郷村建設理論の実践モデルとして中国の山東省鄒平県で繰り広げた「郷村建設運動」の現地調査を実施し、また「日中共同研究会」を開催するなど、日中の伝統的な「農」の思想の持つ可能性と復元力を捉え直す討議を行った。今年度も学会発表、公開講演会およびシンポジウムの開催を通じて多方面から共同討議を重ねた。そこで解き明かされたことを列挙する。 1)李は学会発表で近世における安藤昌益の「農」の思想、特にその人間と自然との調和統一の自然観の原像、また治者に対する民衆の主体性の確立を基点とした協同共生の農村共同体のビジョンが江渡狄嶺の農の哲学に与えた影響を明らかにした。 2)岩崎は「農業と環境」の公開講演会で戦前期「農の思想」からのメッセージとして、橘孝三郎の永続農法(循環の回復)の「農村学」や賀川豊彦の多様性確保の「立体農業論」に着目し、地域共生とサスティナビリティを求めるためには、「外へひらきつつ、内を豊かにする」という「農」の可能性を見出し、農業の価値を発信していく必要があると結論付けた。李は同公開講演会において、人とコミュニティの倫理性及びその連鎖が地域協同の根本をなすという視点から梁漱溟の「理性自治」の思想を読み直した。 3)木村は「宗教・農の思想とサスティナビリティ」のシンポジウムにおいて、西田幾多郎の場所との関連で江渡狄嶺の「為」と「行」などの概念を解読することによって、狄嶺の農の哲学におけるサスティナビリティと循環の視点を浮き彫りにした。岩崎は賀川豊彦の「三愛主義」を例に農本思想とキリスト教とサスティナビリティをつきあわせて論評を行った。研究協力者の牛建科氏は同シンポジウムにて「宗教とサスティナビリティ」の基調報告を行い、サスティナビリティを具体的に実現するには、宗教を一種の生活技術として捉え直すことが大切だという観点を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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