2012 Fiscal Year Annual Research Report
女子美術大学コレクション「日本の染織品」の学際的調査に基づく意匠・素材・技法研究
Project/Area Number |
22520107
|
Research Institution | Joshibi University of Art and Design |
Principal Investigator |
岡田 宣世 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (70185445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深津 裕子 多摩美術大学, 美術学部, 准教授 (20443145)
須藤 良子 女子美術大学, 芸術学部, 学芸員 (20573190)
坂田 勝亮 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (40205745)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 日本染織史 / 染料分析 / 染織技法 / 染織素材 / 小袖の意匠 / 分光測色器 / 染料 / 来歴 |
Research Abstract |
目的女子美術大学が平成20~21年度より所有することとなった染織コレクションのうち、奈良時代から江戸時代後期までの日本の染織品約900点を対象とし、染料や糸の組成分析、測色による分光分析結果などを加え、歴史的変遷を視野に入れつつ、各時代の染織品の意匠・素材・技法の特質を再検証することを目的とする。 本年度の実施内容 1.女子美染織コレクションのうち日本の染織品約558点の調査を行い、うち186点をアーカイブ化して女子美術大学美術館ホームページおよび文化遺産オンラインでの公開を可能にした。 2.基礎調査結果を基に、文献収集とその検討、類似作品の実物調査を継続的に実施した。結果、各時代の特質と考えられる点を比較検討することができた。2点の小袖について新たな来歴が判明し、1点の小袖は、当初の裂地の裏側が現在の表側になっていることがわかり、当初の意匠が明らかになった。 3.科学的分析は、染料分析を目的にした分光測色と高速液体クロマトグラフィーによる分析を実施。 分光測色では、藍と想定される部分の測色により,使われている染料の基本的分光特性を明らかにした。また、時代の異なる測定点の多重比較により,染料による色の経年変化の特性を解明した。 本年度は、小袖形態を保つ慶長・寛文小袖の高速液体クロマトグラフィーによる染料分析を実施し、黒と紅の部分から、キハダ(木肌)の色素であるベルベリンが検出された。 研究成果の意義 小袖形態を保つ慶長小袖の染料分析を実施した例として希少であり、目視での調査研究では得られない成果は、今後の染織史・技法史研究に資するものと考えられる。
|
Research Products
(7 results)