2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520157
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
明木 茂夫 中京大学, 国際教養学部, 教授 (10243867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 肇子 東海学園大学, 人文学部, 教授 (20202319)
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Keywords | 張炎『詞源』 / 詞楽 / 中国古典音楽理論 / 中国古典音律学 / 五音(五声)七音(七声) / 十二律呂 / 宮調(音階) / 月建・月辰 |
Research Abstract |
南宋・張炎の『詞源』巻上は、当時隆盛した文人歌曲「詞」の楽理面(詞楽)の専著である。13世紀における音楽理論書たる本巻は、中国学のみならず音楽史においても貴重な資料であることは言うまでもないが、残念ながら我が国では未だ本格的な研究がなされているとは言い難い。本研究の目的は、中国古典文献の研究方法を基本とし、さらに音楽学の知見を踏まえつつ、『詞源』巻上の楽律論を解読することである。 本年度はまず基礎作業として、今日に伝わる『詞源』各伝本を比較して文字及び音符・図表の校勘を行った。これにより写本の系統、誤写の来歴、後の編集者による訂正などの過程が明らかになった。また些か複雑な伝本の系統を「解題」として分かりやすく整理した。 さらにこれを踏まえつつ、『詞源』巻上第一条「五音相生」および第二条「陽律陰呂合声図」に対する訳注を作成した。「五音相生」では、五音音階を構成する各音程と陰陽五行思想との関連を、典故となる古典文献と照らし合わせつつ明らかにしている。「陽律陰呂合声図」では、本文の図表の意味するところを天文学的な知識と照らし合わせつつ明らかにし、また図表と本文とが合わせ示すところの音楽学的・五行思想的な意味合いを明らかにしている。また中国側の研究者の解釈も検証し、その疑問点を明らかにした。 これらの成果については、解題と訳注を紀要等の雑誌に発表した。さらに音符や図表の校勘表は別途冊子を作成して、今後の研究の便に供するために公開・配布している。
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