2012 Fiscal Year Annual Research Report
『源氏物語』『枕草子』における本文の変遷とその受容に関する研究
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22520216
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
新美 哲彦 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (90390492)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 源氏物語 / 奥入 / 絵画化 / 古注釈 |
Research Abstract |
『奥入』は定家作の『源氏物語』注釈書で、『源氏物語』の注釈書としてはごく初期のものであり、後世のさまざまな注釈書が引用することからもその影響の大きさが伺える。23年度は『奥入』の問題点を整理した上で別冊形態の『奥入』諸本を整理し、自筆本系(甲類・乙類)・内閣文庫本系・源語古鈔系に三分類した。24年度はさらに内閣文庫本系を整理し「内閣文庫本系『奥入』諸本の位相と分類」(『平安文学の交響』勉誠出版 2012年5月)として公刊した。これらの基礎作業によって『奥入』の変容過程の解明が今後さらに進むことが期待されよう。 また、古注釈というのは、作品の後に作られたものでありながら先行する作品の解釈を規定するもので、その解釈のコードは、さまざまな事情によって変化していく。そのような視点から「源氏物語古注釈における通過儀礼注の変遷」(『『源氏物語』と儀礼』武蔵野書院 2012年10月)では、『源氏物語』の主要古注釈書を通して、『源氏物語』に描かれる通過儀礼のうち、光源氏の袴着と元服を見ていき、その作業を通じて、時代によって望まれる解釈が異なり、それにはある種の傾向が見られることを明らかにした。 さらに前年度に引き続き、正宗敦夫収集善本叢書の刊行も手がけ、中世の『源氏物語』享受書である「『源氏物語中の人々』解題」および「『河海并花鳥余情抄出(中・下)』解題」(『正宗敦夫収集善本叢書』第一期第六巻 武蔵野書院 2013年2月)を執筆した。 また2010年に行ったブラジル・サンパウロ大学での講演の原稿であり、近世以前の『源氏物語』の絵画化について概観しながら、時代によって変化、拡大する享受層について考察した「PINTURAS DAS NARRATIVAS DE GENJI」(LINGUAGENS DO ORIENTE;TERRITORIOS E FRONTEIRAS 2012年)も刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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