2010 Fiscal Year Annual Research Report
小型版対訳古典テキストの普及と1580年代の英詩・英国演劇
Project/Area Number |
22520232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
清水 徹郎 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (60235653)
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Keywords | 英米文学 / 演劇 / ギリシア詩 / 印刷本 / Marlowe |
Research Abstract |
平成22年度は、Henricus Stephanusが編纂し1566年にH.Fuggerの印刷所から出版したPoetae Graeci Principes heroici carminis,&alii nonnulliならびにJean Crespinが1569年にジュネーヴで出版したVetustissimorum Auctorum Georgica,Bucolica et Gnomica poemata,quae supersuntの2つのギリシア詞華集を中心に、Christopher Marloweの牧歌詩の典拠であるTheokritosの刊本に関する調査と考察を進め、その成果の一部分を日本英文学会第82回大会(神戸5月)で口頭発表した。また8月上旬に調査のために渡英し、ケンブリッジ大学図書館・同コリッジ図書館などで16世紀の刊本を調べるとともに、16世紀後半の大学生・大学院生・フェローらの図書所有状況ならびに同時期のコリッジ図書館の利用実態などに関する資料を収集した。その調査結果として明らかになったことの一つは、ケンブリッジ在学中の状況を考慮すると、Marloweが使用したギリシア詞華集の版は、Stephanus(1566)のような大型本(folio)よりもCrespin(1569),Stepahnus(1575),Vignon(1584)のような小型本であった可能性がはるかに高いという点である。年度後半は、上記夏の調査の成果を反映させ、Marloweのもう一つの詩、Hero and Leander典拠であるギリシア詩刊本に関する検証を進めた。成果として得られた知見のうち重要なものの一つは、Theokritosの他にも、同じヘレニズム時代の詩人Moskhosの詩から影響を受けた可能性があるということである。これについては、平成23年度もさらに検証を進める計画である。またその成果の一部分を平成23年度の日本英文学会第82回大会(小倉5月)において口頭発表する予定である。
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Research Products
(2 results)