2010 Fiscal Year Annual Research Report
英国18世紀ピクチャレスクの森林描写における自然観
Project/Area Number |
22520245
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
今村 隆男 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90193680)
|
Keywords | イギリス / 18世紀 / ピクチャレスク / 植林 / 森林 / 紀行文 / 庭園論 / 風景 |
Research Abstract |
平成22年度は、文献資料の収集・整理が主たる目標であった。まず夏までに、本研究の対象となる分野の文献を調査・整理した上で、国内のいくつかの大学図書館や、8-9月にはロンドンのBritish Libraryや湖水地方AmblesideのArmitt Library、イタリアのPadova大学の図書館などにおいて文献収集を行った。その際、18世紀末のツーリスト達に人気の高かったハイランド地方(スコットランド)において、旅行記に取り上げられた数カ所の現地状況の確認を行った。文献資料に関しては、当初は出版年代の順に資料の収集・整理を行う予定であったが、現地での調査の結果、資料のテーマごとに分けて整理した方がよいことがわかった。22年度に収集できたのは、地域としてはスコットランド、湖水地方、イタリア(グランド・ツアー関係)、テーマとしては旅行記、農業報告書、庭園論、に関わる文献が中心になった。ウェールズ関係や庭園論の一部などについては、さらに資料の収集が必要である。 資料の分析に関しても、時代区分ごとではなくテーマごとに分ける形で進めた。すでに収集できた文献を読み進めており、10月にはWilliam Marshallの農業報告書に関しての論考をまとめ、所属大学の紀要に掲載した。Marshallは実際的な農業指南の目的で各地の報告書を書いているが、そこには旅行記にみられるツーリストの風景観や風景式庭園の森林観と本質的に共通する価値観が多く含まれており、ジャンルを越えた学際的な研究の必要性をあらためて認識することになった。そのあとは、庭園における木々の扱い方についてのUvedale PriceやHumphry ReptonらのGardening theory関係の資料の検討等を進めており、10月には学会で発表する予定である。
|