2013 Fiscal Year Annual Research Report
英国18世紀ピクチャレスクの森林描写における自然観
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22520245
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
今村 隆男 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90193680)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 英文学 / 地域研究 / イギリス史 / 有用と美 / ピクチャレスク / イングリッシュネス |
Research Abstract |
最終の平成25年度においては、ここまでの研究全体の体系化を意識しながら未完成の部分をできるだけ補うことによって、本研究の集大成が実現するよう努力した。農業と風景観の関係については、「農業と風景美 ―― ラグルズ『ピクチャレスク農法』」(『和歌山大学教育学部紀要』)にまとめることができたが、これはこれまでの補遺研究の成果の一端である。そこでは、通常は相対立するものとみなされていた農業の有用性とピクチャレスクの景観美の両立が工夫によっては可能であるが、それは風景を見る側の意識変革の問題であるとされていることを明らかにした。 反省点としては、計画当初の研究対象分野が多岐にわたりすぎたため、十分な研究ができなかった分野が残ったことである。例えば、E.バークの政治論や、18世紀末から19世紀初めにかけての土地分配運動をめぐる政治関係の文献については、新たに分析すべきであると思われる関連対象の数が多すぎて研究を断念せざるをえなかった。 18世紀においては森林をめぐる科学的分析は未熟で先行書物の内容を踏襲した解説書に近いものが多く、研究の多くの時間は森林描写の表象的要素の分析に費やすことになったが、それは当初の目標からそれほど外れてはいないと考えている。森林描写の表象性に関して本年の研究によって明らかにできたことの中で重要であると思われるのは、対仏戦争を背景にしたナショナリズムの台頭の中で、イングリッシュネス(あるいはブリティッシュネス)の追求が大きな関心事になっておりその中で風景観のみならず植物観を理解する必要があること、またそのことと関わってイギリス自生の植物の賛美が行われたが、そこでは実証的・科学的というよりも観念的あるいは思い込み的な主張が勝っていた可能性が高い事、などである。詳細については、研究成果報告書の中で詳述したい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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