2013 Fiscal Year Annual Research Report
古代ロシア文語成立の萌芽期におけるブルガリア写本テクストの影響について
Project/Area Number |
22520332
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
岩井 憲幸 明治大学, 文学部, 教授 (60193710)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 文昭 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80228494)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 古代ロシア文語 / 古代教会スラブ語 / ブルガリア写本 |
Research Abstract |
岩井の許において、『サバの書』(Sav)を中心として、『オストロミール福音書』(Ostr)、『アルハンゲリスク福音書』(Arch)、『ムスチスラフ福音書』(Mst)のそれぞれを四福音書での章節順に並べ替えた、平行テクストの作製を開始した。7月にはまずマタイ伝を紙に印刷し(A4版全391ページ)、試作品として種々の検討を行った。年度末までにマルコ伝、ルカ伝、ヨハネ伝についても完成させた。 岩井はさらに、(前年度に文献学的な分析の対象とした)Savのsynaxarionの研究に対応させるべく、同書のmenologionについても文献学的な分析と検討を行った。今年度の研究の特徴は、従前のように古代教会スラブ語のカノンであるSav本体のみではなく、やや後のロシアやブルガリアで作られた写本をも包含する「とり合わせ本」として全体で1冊のアプラコスをなすコーデクスNo.14を研究対象とする点にあった。得られた結論は次の4点である。1)Kniazevskaiaらの刊本で列挙されるmenologionに認められる日付に関して漏れや誤りが有ることを確認した。2)前年度のsynaxarionの研究で「ペンテコステ後第17土曜・日曜」は設定されていなかったと結論付けたが、設定されていたと考えうる。3)「主日の早課十一の福音」は『アッセマーニ写本』、Arch、Mstと同様にmenologionの後に配されている。これに対してOstrでは、synaxarionとmenologionの中間に配される。4)コーデクスNo.14では、さらに写本末尾にアポストルの聖務日課とみられるHeb 3.1-4を含む半葉が付加されており、きわめて興味深い(この葉は11世紀ブルガリア制作にかかる)。 一方、服部は、Ostr、Arch、Mstのアプラコスとしての構成に注目しつつ、今次の研究の総括を試みた。その結果、三写本の中で成立年代が最も古いOstrが、当時の最新のブルガリアのアプラコスにならうことで、革新的であることを示し、その成果を国際学会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)