2011 Fiscal Year Annual Research Report
日系人日本語変種の成立過程に関する言語生態論的研究
Project/Area Number |
22520466
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渋谷 勝己 大阪大学, 文学研究科, 教授 (90206152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 真由美 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30186415)
高木 千恵 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50454591)
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Keywords | 日系人日本語変種 / 移民 / 言語接触 / 言語習得 / 言語融合 / 方言維持 |
Research Abstract |
平成23年度は、次の3つの作業を中心に研究を行った。 1.データのさらなる蓄積と記述 平成23年度は、データの蓄積の十分でないブラジル(研究協力者大阪大学助教白岩広行担当)とカナダ(研究分担者高木担当)を重点調査地域とし、各フィールドにおいて以下の作業を行った。 (1)現地の日本語話者の協力を得て、多様な種類の大量の自然談話データを収録した。 (2)現地の日本語話者に面接し、肯否、ヴォイス、アスペクト・テンス、モダリティ等の文法カテゴリを中心に、自然談話データから記述できる部分を補うための調査を行った。 (3)各地の日系人日本語変種間の異同を明らかにし、その異同をもたらした生態の解明という目的を達成するために、インフォーマントの経験談(ナラティヴ)や居住地の社会・経済情報、歴史的な資料などを多数収集した。 2.各地日系人日本語変種間の比較とその成立要因の解明 否定、可能、文末詞、丁寧体の4つの言語項目について、ブラジル、ボリビア、カナダ、パラオの各日系人日本語変種の分析結果をもちよって、各地域の日系人日本語変種間の異同を、それぞれの言語事象ごとに細かく確認する作業を行った。また、各変種間で相違点が確認された言語事象について、それがなぜ違っているのかを解明すべく、議論を行った。 3.研究成果の公開 現在、データの文字化およびその分析を進め、準備が一定の段階に達したところから論文にまとめる作業を行っている。 本研究の成果を公開するためのホームページを準備、作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査は計画どおりに行われ、自然談話データや研究資料が蓄積されている。自然談話データの分析と記述の作業に若干遅れが見られるが、これは計画以上にデータが収集され、その文字化に専念していることによる。文字化は順調に進んでおり、その分析も進んでいるので、総合的にはおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、データの蓄積が十分でないカナダを重点調査地域とし、補充調査を行う。 また、昨年度に引き続き、これまでに得られている自然談話データの文字化を行い、各言語項目の分析と記述、日本語変種間の異同の確認、その成立要因の解明等の作業を行っていく。 以上の成果を、年度末に報告書として刊行する。 研究計画の変更点、研究遂行上の問題点等はとくにない。
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Research Products
(2 results)