2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520467
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Research Institution | Nara Sangyo University |
Principal Investigator |
桑原 祐子 奈良学園大学, 情報学部, 准教授 (90423243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 ゆかり 羽衣国際大学, 人間生活学部, 教授 (30168877)
渡辺 晃宏 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, その他 (30212319)
黒田 洋子 奈良女子大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (70566322)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国語学 / 正倉院文書 / 訓読 / 言語生活 |
Research Abstract |
本研究の目的は、正倉院文書に代表される実用の言語生活の中に、後世の日本語表記システムが成立していく契機があることを解明することである。22年度から24年度にかけて、正倉院文書中の下級官人や在野の技術者・非官人に光を当て、彼らの言語生活を記述してきた。最終年である25年度は、これらの研究をまとめた研究成果報告書I『正倉院文書の訓読と注釈―造石山寺所解移牒符案(二)」』・II『正倉院文書からたどる言葉の世界(二)』を刊行するために、科研合同研究科において、取りあげるべき個々の文書の分析と検討を更に行い、検討結果に基づいて、原稿の執筆を行った。 加えて、桑原祐子は「道豊足の人事―あいまいな表現の背景―」(『正倉院文書研究』13、25年10月)において、官人の派遣を要請する文書の日付や要請理由、派遣を許諾した文書のあいまいな表現に注目し、文書間の整合性を保つために周到な準備をしていたことを確認し、官人の勤務実態と要請理由との間に生じた矛盾が、許諾文書のあいまいな表現の要因になったということを明らかにした。定型表現を主とする文書の世界であるが、実務の現場で起きる様々なことに対応するため、表現に工夫が必要となる。そこに、奈良時代の役人たちの生の言葉があることを明らかにした。 中川ゆかりは、「主張する文体―漢文助字『耳』の活用―」(第39回萬葉語学文学研究会、25年9月22日)において、命令を強調する「耳」の用法は、漢籍や上代の編纂文献には見えない、正倉院文書特有の用法であることを明らかにした。実務の現場で、業務を遂行するために相手に様々な要求をする文書を書かなければならなかった官人たちが、漢文の文末助字の用法を拡大しつつ活用したものとして、上代日本語における文末助字「耳」についての新たな位置づけを行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)