2011 Fiscal Year Annual Research Report
留学生の日本語学習に伴う脳機能変化の経年的研究と医療系日本語学習教材への応用
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22520521
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大北 葉子 東京医科歯科大学, 国際交流センター, 准教授 (10361726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 克也 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (20251514)
松島 英介 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (50242186)
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Keywords | 漢字学習 / 日本語教 / オンライン教 / 認知心理学 |
Research Abstract |
どのような字形の漢字が学習しにくいかを探るため、漢字の認知心理学の実験を非漢字圏及び漢字圏日本語学習者11人を対象に行った。刺激として、偽漢字(偏と旁の組み合わせが現実に存在しないもの)倒置漢字(偏と旁の位置を左右または上下逆にしたもの)真漢字、ハングル文字、フォント依存漢字(外外のようにフォントによって字形が異なる漢字)、バランス逸脱(咲きのように左右の部品の大きさが異なる漢字や未と末のように上下の横線の長さが弁別特徴になる漢字)を用いた。非漢字圏日本語学習者では来日後約2年で日本語学習が初級である場合、偏との位置が逆になっていても気づかない場合が約70%あった。偏と旁の関係の学習が定着していないことがわかり、偏と旁の関係について授業で今まで以上に強調しなければならないと思われる。また日本人や漢字圏学習者では字体の正誤判断には個人差が大きかった。「末」「未」「士」「土」などの漢字は上下の横線の長さで意味が異なる弁別的特徴を持つが、弁別的特徴をあまり気にしない被験者もいた。日本人や漢字圏学習者の場合、文脈からの漢字の読み取りができるため、弁別的特徴には依存せずに意味が理解されていると考えられる。 医療系漢字の検索と練習シートをpdfにしてダウンロードできる医療系漢字学習教材のウエッブサイトをhttp://www.iec-kanji.com/kanji/更新している。ウエッブサイトからダウンロードできるが、ダウンロード、印刷するというのは手間がかかり、思ったより使用が少なかった。今後iPhoneなどのアプリにして紙媒体ではなく練習できるようにしたほうがよいと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は東日本大震災の影響で留学生の多くが帰国したため、留学生の被験者が確保が難しく留学生を対象にした実験が計画より少なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
どのような字形の漢字が学習しにくいかを探るため、漢字認知心理学実験を日本人、非漢字圏及び漢字圏日本語学習者で進め、結果分析する。またその結果に基づいて漢字の部品と構造を軸としたiPhone,iPadの教材開発をする。医療系漢字学習教材のウエッブサイトの漢字数を増やし拡充する。
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