2011 Fiscal Year Annual Research Report
多言語多文化キャンパスで必要なリテラシー能力に関する調査・研究
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22520523
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田崎 敦子 東京農工大学, 国際センター, 准教授 (10272642)
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Keywords | 大学院生 / 短期滞在留学生 / 日英二言語使用 / 翻訳 / 英語 / コミュニケーション能力 |
Research Abstract |
今年度は、特に大学院留学生と、3ヶ月程度の短期滞在の留学生を対象に、彼らがキャンパスのコミュニティーの一員として研究活動、学生間の交流に参加するために必要な能力と、その養成について検討した。大学院留学生は、英語で研究活動を行う修士課程の留学生で、日本語能力皆無で入学している。彼らの生活、研究の基盤となる研究室での生活を調査した結果、研究に関する議論は英語で問題なく行うことができるが、日常生活に関するコミュニケーションには、日本語が有効であることがわかった。そこで、今年度は、初級レベルの日本語で日本人学生とどのようなコミュニケーションが可能なのか、またその促進、阻害要因は何かを探るために、日本人学生と日本語初級レベルの留学生のコミュニケーションを分析した。その結果をもとに、留学生を対象とした日本語クラスにおいて、特にひとつの話題を発展させる活動を行い、その成果を検討した。また、日本語初級レベルの留学生が、日本語のコミュニケーショシの進め方を同じ学習者から学ぶ機会を提供するために、日本語上級レベルの留学生と会話をする場を設定し、その教育効果を示した。一方、日本人学生側からの歩み寄りも必要であることから、日本語と英語の二言語を使用したコミュニケーションの促進を図るために翻訳を取り入れた活動を、日本人学生と留学生を対象とした「異文化間コミュニケーション」の講義で行い、その成果を検討した。3ヶ月程度日本に滞在する超短期の留学生に対しては、まず、彼らのコミュニケーションの実態を把握する必要があることから、短期滞在の留学生にインタビュー調査を行い、それぞれが研究室で行っているコミュニケーションの様相や、彼らのニーズなどを調べた。その調査結果については、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、様々な背景の留学生が大学コミュニティーに参加し、学習、研究、そして学生交流を行うために必要なリテラシー能力を調査し、その養成のための教育的示唆を得ることを目的としている。この目的を達成するために、昨年度は英語で研究活動を行う留学生に求められるリテラシー能力に関する調査を行い、今年度は、その結果をもとに、留学生、および日本人学生に必要なを養成するための教育的活動を試み、その成果を検討した。さらに、昨年度とは異なる背景の留学生(3ヶ月程度日本に滞在する留学生)のコミュニケーションの実態を明らかにするための調査を開始しており、概ね目的に沿った調査・研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる24年度は、これまでの調査結果、研究結果をもとに、多言語多文化キャンパスで求められる能力を、留学生の背景(留学目的、滞日期間、使用言語など)ごとに整理し、その養成に必要な教育について提言をまとめる予定である。また、日本人学生が身につける能力についても検討する。最終的には、留学生、日本人学生に対する具体的な教育内容、方法を示したいと考えている。
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